無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

ズブズブに嫉妬中

映画館に「パラレルワールド・ラブストーリー」を観に行った際印象に残ったのが新海誠の最新作「天気の子」の予告編だった。前作の「君の名は。」に引き続きがっつりRADWIMPSの音楽がフィーチャーされている。新海誠監督は「RADWIMPSと映画を作った」とまで言っている。こんな前向きなズブズブも珍しい。

更なる次作がどうなるかはさておいて、ひとまず「天気の子」が公開された暁にはこれですっかり「新海誠作品といえばRADWIMPS」という図式が認知されるのだろうな。嘗ての「宮崎駿監督作品といえば久石譲の音楽」みたいに。

それ自体はブランディングとして尊敬すべき事だが、あたしゃ何だか悔しいんだよ。何がって、いやもう「君の名は。」の時からそうだったんだけど、こっちは「エヴァンゲリオンの主題歌といえば宇多田ヒカル」というブランディングにずっと誇りを持っていたのに、今は完全に存在感で「新海誠RADWIMPS」に負けている気がするからだ。

確かに、ポスト宮崎駿最有力候補として名の上がる新海誠が自分の性癖を押し殺してまでメジャー路線に魂を売りつけたのだからこれくらいの評価は受けるべきなのだが、庵野秀明だって元々は「風の谷のナウシカの続編のメガホンをとるなら庵野」と言われるまでに“ポスト宮崎駿”だった筈。その足がかりを宇多田ヒカルの歌と共に新劇場版で掴んだかというところだったのだけれど、今はこんな感じだ。

果たして「シンエヴァ」は起死回生の一撃になるのだろうか。本当に2020年中に公開するとすればもう既にヒカルが主題歌に取り掛かっていたとしてもおかしくない。それどころかもう主題歌が完成していて、それを聴いた庵野監督が脚本を練り直しているくらいあるかもしれない。

ヒカルの性格からしてあまりやらなそうだが、「新海誠RADWIMPS」並みにズブズブに何曲も楽曲提供してたら私は発狂するだろうな。それでミニアルバムをリリースしたり…? 劇伴は流石に鷺巣詩郎だろうが、一曲じゃなくて二曲とかなら…いやまぁなんか虚しくなってきたから止めるけど、そうね、劇中に『Beautiful World』を流す位ならいいんじゃないの。よっぽどうまくやらないとダッサダサになっちゃうヤツだけどねー。

まぁいいさ。きっと発表はまだまだ先─それこそオリンピックが終わってからとかだろうから、暫くは静観しときましょーかね。

ボーダーレスサブスクエラに向かって

@SonyMasterWorks からのツイートで『Face My Fears ・(English Version)』のアクセスが2500万回を突破したとの報。スクリレックスリツイートしてくれていたが、まずまず順調といったところか。肝心のゲームの方の評判が芳しくないらしく、それもちょっと影響しているのかな。

一方でutadahikaru.jpではMusicのOthersのコーナーに『Laughter in the Dark Tour 2018』映像商品のページが出来た。フィジカルの方はDVD/BD扱いだ。元々『In The Flesh 2010』がOthersのコーナーだったので区分けの仕方としては継続しているが、同じ商品がこうやって2つのコーナーに跨がるという所に過渡期を感じる。ファンの動向を様子見、かな。

まだまだ日本ではサブスクリプション/ストリーミングの普及が英米欧ほどではない。この度めでたくブロックしてうただいたなりくんもラジオで「aikoがストリーミングに載ってない」と嘆いていたな。ビッグネームほどストリーミングに打って出るべきな気もするのだがポニーキャニオンさんそこのところはどうなんですかね。

ヒカルは旧作を総てストリーミングに載せていて、日本国内では「前掛かり・前のめり」なアーティストとして認知されている。が、音源のストリーミングですらそういう状況なのに、映像商品をマルチチャンネルで売る・アクセスさせるというのはどこまで成功するのか。かなり実験的な色合いが強そうではある。

寧ろ逆方向に考える事になるかもしれない。フィジカルではCDの方がDVD/BDより金額は兎も角数の上では上回っていた為どうしても音楽リスナーは音源をより重視すると考えがちだが、映像商品がサブスクに載ってくるとなると状況が変わるかもしれない。音楽鑑賞の対象としてのみならず、ドラマやアニメ、映画や舞台中継スポーツ中継などと同様に“テレビ利用時のコンテンツ”のひとつとして音楽の映像商品が扱われるようになるとこちらへのアクセスの方が重視されるようになるかもわからない。

まだその議論は時期尚早だ。けれども今後utadahikaru.jpのMusicのコーナーの区分けがどうなっていくかは、ぼーっとでも眺めておけばいいかもしれないね。

ツイッターに見る日本と海外のファン気質の違い

614といえば無意識日記の初期ハッシュタグは「#614929」だった。当時全角文字が使えなかったが為の正に苦肉の策だったのだが今は普通に漢字も使えるし140字制限もあるしで記さなくなった。特に郷愁は無いが覚書として書いておきたい。

寧ろ「ツイッター初期はハッシュタグに全角文字が使えなかった」という話に「そういえば」と膝を打つ人や「そうだったの!?」と初めて知った人が出てきそうよね。そうなのよ、ツイッターにも歴史あり。2006年7月からというからほぼ『ULTRA BLUE』と同い年なんだけども。

…嗚呼、『ULTRA BLUE』といえば発売日を記念するツイートを宇多田共和国と(海外のウタダアカウントとしては最も有名な)UBLOGの二者が今朝の同時間帯に投下していたのだが、共和国の方が現在10RT38fav、UBLOGの方が60RT119favと随分と差がある。いや比か。3倍だ6倍だという数字なんだもの。

その一方でフォロワー数は共和国が1610フォロワー、UBLOGが838フォロワーと共和国の方が倍近い数字を持っている(参考までにRIAは1516フォロワーだ)。これはちょっと興味深い。

よく言われてることだが、日本人はWebをよく利用する割に余り自分から発信はしない。フォロワー数が多いのにRT&favが少ないのはそれが理由なのだろう。決してアカウントとしての魅力が負けてい…やめとこ(笑)。

それを奥床しいととるか英語圏の人々がぐいぐい来過ぎととるかは人による。ただヒカルも2009年にセフォラなどでファンイベントを催した際現地のファンの積極性に日本との違いを見出していた。やはりそういう印象を持つのだろうかな。

あと、ヒカルの支持層の“濃さ”の違いもあるのかもしれないが…っていう話をし始めると長くなりそうなので今宵はこれくらいで止めておこうか。特にこうすべきだとかこうして欲しいとかのメッセージがある訳ではなく、こうなのですよという事を伝えたかっただけなのでした。

『ULTRA BLUE』の市場的先見性

ULTRA BLUE』13周年記念日。たった13年しか経っていないがそりゃもう定番の名盤だよね。必修科目。

宇多田ヒカル名義の中では売上として“底”だったので当時の評価はそこまで芳しく無かった。内容ではなく数字の評価である。しかし当時のスタッフは確実に未来を見据えていた。

このアルバムの中で最古曲は2003年の『COLORS』だ。『20代はイケイケ!』と共に世に押し出された楽曲は、アーティストが単独でストリーミング映像生配信と実況チャットを組み合わせるという画期的な企画だった。ヒカルに車一台をプレゼントとして用意できるようなスポンサードを受けられる知名度があったからこそ実現した企画だったが、世の先駆けとして十分な先進性だった。

同じく同アルバムの収録曲、CDの出荷枚数と実売数の落差として歴史的な数字を残した2005年の『Be My Last』。その一方で当時始まったばかりのiTunes Music Storeでは年間第2位の数字を残すなど、来たるべき“インターネットでの商業音楽市場”を見据えてかなりの先手を打った感じだった。当時はそれこそまだ時代が追いついていなかった。

2006年の『Keep Trying』もそうだ。au音楽配信サービス「LISMO!」のスタートに合わせて何とCD発売前に無制限無料配信を実行し200万ダウンロードを記録する。当然、CDの売上は芳しくなかったが、ここから一年後に『Flavor Of Life』が着うたで歴史に残る大ブレイクを果たした。『Keep Trying』でガラケーリスナーの下地を耕しておいたのが奏功したといえる結果だった。

斯様に、『ULTRA BLUE』というアルバムは旧来のメディアからCD売上を云々される一方で、未来を見据えて来たるべき時代に備えた先見性に富むアルバムだったのだ。世界的にストリーミングが主流となりつつある現代において今一度この13年前の作品の在り方を再評価してみるのも一興かもしれないよ。

迂闊に題名をつけられない日記

***** *****

(前略)

すると、その直後のニュース。またもや揺れてる揺れてる!一つの国家が揺れてる!ユーゴの国民が革命を起こしたよ!!すこぶる心を震わす映像で、現地のレポーターも大泣きしたって言ってて、もうわしも大泣き・・・なんでおまえが泣くんだっユーゴの人達につっこまれそうなんですけど(笑)

この掲示板では政治的な発言は避けてきたつもりだけど、これはどうしても書きたかったのです。いやあ人間ってすごいなぁ!!!政府と戦うなんて半端無い勇気だよね。信じる気持ちってすごいなぁ!「催涙ガスをものともせず立ち向かっています!この勝利と感動の涙を流していない者はいません!!」とレポーターさんも熱く語っていました。

(後略)

***** *****

…以上、2000年10月6日の『Message from Hikki』から抜粋した。ユーゴ市民革命の成就を讃えるメッセージ。こんなの今書けるかなぁと思うとちょっと切なくなるね。ネットの状況が変わっちゃったな。

ヒカルはハッキリと『この掲示板では政治的な発言は避けてきたつもり』と書いている。掲示板ってのは、『Message from Hikki』の書き込み方が掲示板方式だってだけで我々には関係ない(笑)。兎に角、当時ですら政治的発言は控えるべきだとされていた訳だ。今は尚更だろう。

従って、「成就する革命もあれば潰されるデモもある」なんてことを今のヒカルが書けるわけもないのだが、間違いなく注視していることだろう。ユーゴ市民革命に対してこれだけテンションが上がっていた人なのだ。憤りも人一倍だ。

…当地は『Addicted To You』のプロモーション・ビデオの撮影地ということでヒカルにもゆかりがある。撮影から日本に帰ってきてすぐのメッセで『すごく好きになっちゃった♪』とも書いている。関心が無い訳がない。しかし、だからこそおいそれとは書けないだろう、何も。本当に難しいことだと思う。言いたいことも言えないこんな世の中じゃPOISONって歌いたくなるよな反町隆史じゃなくても。なので、ヒカルが黙っていたとしてもそれは無関心でも無知でもない。ただ黙っているだけなのだ。それも行動の、言動の選択である。尊重したい。

勿論、何か言ってくれても構わないのだけどね。何の話かわからない人は…えぇっと、ごめんね。