無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

"素っ頓狂"

何をもってしてシーンが盛り上がってるかの判定って難しい。90年代、週刊少年ジャンプは発行部数が600万部を突破。日刊とはいえ上にはもう読売新聞と朝日新聞しかないというところまで部数を伸ばした。その隆盛はドラゴンボールの終了によりピークを過ぎていったが、最終兵器たるワンピースの投入後に奇妙な事が起こる。ワンピのコミックスは右肩上がりで部数を上げていくのに本誌の方は右肩下がりのまま。結果、ワンピースは発行部数400万部を超え、ジャンプの方は300万部を割るという、90年代では考えられないような逆転現象が起こった。

この事態、どちらからみるかで事情が変わる。鳥山明が「みなさん、ジャンプの方はいいのでコミックスを買ってください」と素直に言っていた通り、漫画家にとっては週間連載の方は原稿料収入しかなく、単行本の方は印税収入だ。単行本が売れる方が嬉しいに決まっている。漫画家を励ますにはこちらの方がよい。雑誌の発行部数が下がったからといって嘆くべきかはちょっと待つべきだろう。

アニメにしてもそうだ。昔はゴールデンタイムに毎日のようにアニメ枠があったのが、今や殆どが深夜に追いやられている。そちらのスポンサーは製作委員会関連で、早い話が自分で枠を買って円盤と原作の宣伝をしているのだ。つまり、昔と違ってより小規模でも制作活動の継続が可能になった。ゴールデンタイムから消えてアニメは衰えたどころかますます本数が増えている。寧ろ、この勢いにあてこんでテレビ局が勘違いしてゴールデンタイムの枠をアニメに売るようになると制作状況は衰退するかもしれない。

何が言いたいかといえば、たとえデータとして数字が正確に集計・発表されていようとも、その読み方次第で幾つか幅のある解釈が可能だという事だ。何をもってして盛り上がってるとか衰退しているとかいうべきか、誰がどちらからみるかによってコロコロ変わるのである。

そして、勿論、成功のものさしを数字に頼らない制作者も多い。それは、ファンレターの内容であったり、コンサートやイベントで出会う人々の表情であったり、励まされる素は人によって様々だろうが、"一概には言えない"という当たり前の事をどれだけ踏まえられるかは大きい。


照實さんのツイートによると、Hikaruは元気に幸せそうにやっているという。こちらとしてはそれでもう十分である。周囲には無為に復帰を急かさないようにと釘を刺しておいてうただきたいものだ。わざわざ不幸や苦労を背負う為に業界に戻る事はない。元々無期限なんだし、いつ戻ってこようが自由だ。他人との約束なんて幾らでも反故にしてよい。2年だろうが5年だろうが何年だろうが、数字は関係ないのである。Hikaruの元気と幸せの方が大事だ。ただ、自分自身との約束だけはしっかり守って欲しい。「必ず戻ってくるから」と自分自身に対して約束したならば、その約束は果たされるべきだ。ひとのものさしではない、自分自身のものさしと時計にしたがって、場所とタイミングを見つけて欲しい。それがどれだけ素っ頓狂であったとしても、そこにUtada Hikaruの名前が刻まれてさえいれば十二分である。ワガママになるにも、多少努力が必要な性格をしてはるのが、ちと心配ではありますのやけどね…w