無意識日記々

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LIVEコンサートサウンドクォリティグレイト化計画

今後、「音の良さ」にどうこだわっていくか。サウンド・マニアが居並ぶプロデューサー・チームのお陰なのかどうなのか、Hikaruのアルバムは兎に角音が良い。ハイレゾ時代に入ってますますその傾向は強まるだろう。それはそれでいい。音は良いに越した事は無い。

しかし、全体的な力の入れ具合として、僕は最早スタジオ盤のサウンドにばかり注力するのは違うと思うのだ。予算や才能や時間や場所が許す限り、スタジオ盤でもベターなサウンドを追究して貰いたいのはやまやまだが「そんな暇があるんならLIVEコンサートのサウンドの質を追究して欲しい」というのがより強い本音である。

ヒカルの音楽は大衆向けである。各々のジャンルにのめり込んでいる"音楽マニア"の皆さんにとっては、シリアスに捉える存在ではない。マニアであっても「歌は、うまいね」とか「First Loveは、スタンダードだね」くらいで止まっている。ぶっちゃけ、ヒカルの音源がハイレゾで発売されても、それで"本当に喜んでいる"層は、どれ位だろう、やっぱり数千人もいればいい方か。各都道府県に1000人ずつも居ないだろうな。そりゃ出会うのにも骨が折れるわ。

つまり、家で聴く、個人的に聴く、という時にサウンド・クォリティーなんか気にしない層がメイン・ターゲットなのであって、最低限ヒカルの歌がクリアーに録音されていれば大丈夫だ。

しかし、LIVEコンサートは別物である。先日指摘したように、ロック・ポップスのコンサートはライト層からしたらひたすら音がデカいだけで基本的に不快なものである。これを覆さないとどうしようもない。

逆に、LIVEコンサートでのサウンドがクリアーなら、もうそれだけで勝ちである。コンサート会場という閉鎖空間では、歌が上手いとか演奏がどうのこうのという前に、音質自体が快適でなくてはならない。音量が大きいからだ。まずは、鳴っていても不快にならないサウンド。そこから更に、鳴っているだけで快感なサウンド。それである。

超一流はそこが違う。徹底的に音質にこだわる。音の出口、音の最表面。結局人と、人の鼓膜と出会うのはそこなのだ。特に、ロック/ポップスのLIVEコンサートというのは鑑賞ではなく体験である。音の洪水と人々の熱気に呑み込まれる空間だ。まずはそこに居たいと思わせないといけない。幾ら上手に歌ったところで、それが届かなければどうにもならない。

デスメタルバンドなら、音質が悪くたって構わない。パワーとエネルギーで押し切ればいい。しかし、ヒカルはデスメタルではない。それに、デスメタルだってやっぱりサウンドがクリアーな程迫力があるのだ。どんな局面だって音がいいに越した事は無いのである。


しかし、では具体的にはどうすればいいのか。知らない。

それだけでは素っ気ないので、少し考えてみる。多分、フィードバックシステムはもうある筈だ。PAの実際のサウンド出力を入力としてサウンドバランスをリアルタイムで調整していくシステム。ないのかな。ないならその開発に手を貸すべきだろうな。

実際の会場でのサウンド・メイキングは時間との戦いであり、経験で勝負が決まる。千人万人単位の人が入った後の気温と気圧と湿度の変化を見越してサウンドを作らなければならない。それをシミュレーションできるシステムがあれば凄まじいが、流石にそれは無いか。でも21世紀も15年が過ぎてるんだしねぇ…。

もっとずるい方法もある。日本でなら、「音のいい会場でしかLIVEをしない」というのもひとつの手である。やはり、クラシック専用の会場などは気合いが違う。会議場の流用とかでは決して得られないクリアーなサウンドがそこでは聴ける。問題は、そういう会場では逆にPAシステムを設置するのに向いてないんじゃないかという事と、スケジュールが多分押さえられないだろうという事だ。うぅむ、現実は厳しい。

ヒカルに酷でもよいのなら、「定点LIVE」というのもアリだ。数週間同じ会場を貸し切れれば、そのうちグレートなサウンドが出来上がるかもしれない。ヒカルの5も最終日には…あれ、どうだっけ? 嘘みたいなI Love Youでキョトンとしてた人が沢山居た覚えはあるので、少なくともハードなサウンドはあんまりクリアーではなかった、と言っていいとも思うが。


いずれにせよ、これはこだわらなければならない。CDは売れないし、配信も頭打ち。音楽をちゃんと聴いて貰えるのは最早家ではなくLIVE会場だ。そこで最高のサウンドを出さなければ意味がない。そこまで来ているのではないか。危機感を持っていいと思う。

極端な話、アルバムが完成してからツアーに出るまでの間、1,2年を掛けてでもLIVEサウンド・クォリティーを追究したっていいと思う。いい音というのはそれだけで衝撃なのだ。ヒカルの絶品の歌唱は、是非とも絶品のサウンドで体験したい。何か21世紀に相応しい、真新しい方法論が生まれないか期待している次第です。