無意識日記々

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フィット、ヒット&アウェイ

昨日DAOKOの「打上花火」のYouTube再生回数を見てみたら2000万回を超えていた。公開から3週間でこれとは何ともまぁ。映画のオフィシャルサイトを開くと自動的にこのYouTubeの再生が始まるという仕様の影響はあるにせよ、やはり注目されていないとここまでは行かないだろう。肝心の映画の評判は散々だが、主題歌に関しては大成功と言えるかもしれない。

散々、といってもそれはWebで寸評を文章でUPしている人たちの間での話。なので、毎度指摘している事だがどうしてもストーリー重視の傾向がある。文章を書ける人は文章を読む人であり、文章はストーリーが命だからだ。しかし相手は映画であって、映像や音楽の力も強い。「千と千尋の神隠し」は最大級の特大ヒット映画だが、ならストーリーは例えば「天空の城ラピュタ」のようなガッチリとしたシークエンスを組んであるかというと、そうでもない。描きたい風景を描いていくついでにストーリーも展開させたよ、という程度。広告宣伝の力もあるとはいえ、日本でいちばんウケた映画の作風がこうなのだから、映画に関していえば、少なくともWebでの評価にはややストーリー重視傾向が強いと思っておいてよさそうだ。実際に観てみないと、本当の所はわからない。

で私はこの打ち上げ花火の映画観てないんだよね。件のYouTubeのシャフトフレーバー満載動画(時々どうみてもガハラさん)を見てお腹いっぱい。良し悪しだなぁこういうの。恐らく売り出す方は昨年の「君の名は」とRADWIMPSの関係性を狙ったのだろうが、ちょっと狙い以上に曲の方が注目され過ぎている感すらある。実際に聴いてみたら本当にいい曲で「フルコーラスで聴いたら更に感動増幅する」タイプのパート、即ち"二番からダブルボーカル"とCメロとブレイクとアウトロ大サビが全部入りで入っている。執念じみた「ヒット曲渇望」を感じる。

実際大ヒットしているようで、未だにiTunes Storeチャートでは1位だ。YouTubeでフルコーラス聴けても買う層が一定数存在している。宣伝のスケールが大きければこうなるという好例だな。何か、映画を差し置いて「2017年夏の流行歌」としての地位を築きつつあるようにみえてきた。でももう今日で8月も終わりなんですが。もうちょい公開早くてもよかったかな。いや、映画観てないので、内容に即させたのかもわかりませんが。


タイアップ先との関係は重要だが、それに縛られ過ぎてもいけない。同じくiTunes Storeチャートで『Forevermore』は目下4位と健闘中である。発売1ヶ月でこの位置なのは、曲が人気なのか他の人たちとの落差が激しすぎるのか。これだけ売れてたらもっと流行歌然としていてもよいと思うが、どうにもそういう雰囲気になっていない。

思うに、ドラマにフィットし過ぎているのではないか。それ自体は素晴らしい事だが、「ごめん、愛してる」の主題歌、というイメージが強すぎて、それ以上のフィールドにまで勢いが波及しづらいのかもわからない。サビで『愛してる』って連呼しちゃうだなんて、ドラマ自体よりもドラマ名を宣伝する力が強いのだから。

本当に良し悪しだ。ドラマを見て歌を聴く分には至高なのだが、その分ドラマに縛られる。「打上花火」は映画の評判が散々なせいで、映画に引っ張られる事なく逆に曲を聴く層に広がりが出来ている。この分析が正確であるならば、皮肉なものだ。流行歌を作るのは本当に難しいわね。