無意識日記々

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"これ以上ない最高のタイミング"

「ヒカルがなりくんをプロデュース」のニュースは確かに吃驚驚いたのだが、それと同時に「これ以上ない最高のタイミングの発表だったな」とも思わされたのだ。

考えてもみたまへ。もしこれが、ヒカルが何もしていない時の発表だったら?って。すわ「あらヒカルさんプロデュース業に専念する気?」という空気がファンの間に流れていた可能性は相当高かっただろう。そうなると、この、「今年(必ず)アルバムを出します」と宣言してからのなりくんプロデュース告知は、ファンの懸念を最小限に抑える絶妙のタイミングだったと言わざるを得ない。全く、誰が考えたか知らないがかなりの切れ者が絡んでいるに違いない。まぁヒカルなんだろうけどさ。

つまり、「え、他人のプロデュース…?? ああでも今年アルバム出すっつってんだから別にいいのか。」という空気がまずかなり流れる。それで大概の懸念と疑念は払拭されるが、それでも「他人のプロデュースしてる暇があるんなら自分の作品を一刻も早くリリースすればいいのに」という文句は幾らか聞こえてくる可能性は残る。

しかし、それにも恐らく理由があるのだ。ここからは私の勝手な推測だが、ヒカル陣営はアルバムのリリースをツアー日程から逆算しているのではないか。踏み込んで言えば、ツアーに必要な会場を押さえられた時期が今年の後半以降になってしまった為、アルバムリリースをかなり遅らせざるを得ない状況に陥ったのではなかろうか。

それによってヒカルのスケジュールに「妙な隙間」が生まれた。SONY移籍も手伝って、例えばTHE BACKHORNとの共同プロデュース、例えば初の歌詞集『宇多田ヒカルの言葉』出版、例えばなりくんのデビューアルバムをプロデュース、といった具合に、それなりに短期間で形に出来る仕事に着手できたのではないか。それにしたってワーカホリックだけれど。

若しくは、「キングダムハーツ3」の主題歌のリリースタイミングも絡んでくるかもしれない。この曲を発表済みでないとアルバムは出せません、という。どんな演出で解禁になるかはわからないが、この曲に関してはヒカルファン、邦楽ファンのみならずゲームファンも…いや、まさしく世界中のゲームファンから期待されている、目玉ともいえる楽曲である。Ray Of Hope EPですらあのチャートリアクションだったのだ。まっさらな新曲がリリースされたら十数ヶ国でNo.1を獲得できるかもしれない。SONYにとっても超ビッグイベントになりえるのだ。

…といった諸事情があったのではと考えれば先月のデビュー19周年記念日における"やや不自然な"具体的な日程や内容に殆ど言及しないアルバムリリースとツアー開催の発表も合点がいく。ああやって先に発表していたからこそ、今こうやってなりくんのプロデュースを告知できるタイミングが生まれたのだ。ファンの不安を抑える為にも、先にヒカルの「長期予定」を皆の心に先に刻んでおく必要があったのだ。まさにプロフェッショナルな情報解禁技術。この1ヶ月様々な"浅はかな推測"を繰り広げた事について平謝りしたい気分。本当にごめんなさい。参りましたRIAの皆様。

とはいえ、だからといって「ヒカルがなりくんをプロデュースする」という現実自体をファンが素直に受け入れるかはまた別問題だ。ヒカルが自分の歌手活動を疎かにするかもしれないという懸念は概ね払拭できるとはいえ、なりくんの音楽が受け入れられるかどうかはまた別の話な訳である。

これについては「聴いてみるまでわからない」というのが偽らざる本音だから、まずは先行公開された『Lonely One』について、幾らか書いてみる事にしようかな。乞うご期待。