無意識日記々

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"2人はいつしか惹かれ合う"

6週間は長いな。それはつまり、『誓い』&『Don't Think Twice』の続報もまた6週間はないだろう、という事か。まぁそちらは動きがあるとすれば6月中旬らしいから、どの道変わりはなかったろうが。

2曲いや3曲おあずけを食らったまま過ごさねばならないのか。ヒカル姐さんドエスでござるね。やれやれだ。

この、どちらも断片的な楽曲として発表された状態で何週間も何ヶ月も放置というのは作り手としてどんな気分なのだろう。出来るなら、完全体となった楽曲に触れて欲しいと思うものではないだろうか。

例えば『あなた』は『DESTINY 鎌倉ものがたり』のエンディングで流れた時に最大の効果を発揮する。ヒカルがどこまで意図的だったかはわからないが、結果としてそうなったというのに違いはない。であるが、同曲の最初は「なんか色々あってよく聞こえない」だった。

今回の『初恋』も同様で、劇中歌なのだから当然なのだが色んな音や映像に気を散らされてピュアな歌の姿がどんなものかよくわからなかった。6週間後に漸く"完全体"に巡り会えるのだが、本当にこんなんでよいの?

世代として古いのかもしれないな。自分はギリギリ「新品のアナログレコードに初めて針を落とす緊張感」を知っている世代なんだ。これから奏でられる音楽に対する期待と不安。聴き終えた時の満足感や落胆。何か、結構構えて音楽に対峙していた。

確かに、音楽は手軽になった。くしゃみをするより頻繁に音楽を再生する日々だ。が、送り手側が雑でよいのか?という疑問は残る。

劇中歌だからある程度は仕方ない、とかそれは言い訳にならない。こちとら前クールで「宇宙よりも遠い場所」を観て肝心な所で切り込んでくる挿入歌の歌詞のハマり具合に感心していたところなのだ。しっかりと丁寧に作り込めば劇中歌は最大以上のポテンシャルを発揮する。要は使い方である。

あまり本意ではない事をチクリと書いておくと、劇中歌を依頼された以上、ドラマにフィットする歌を作るべきだろう。ヒカルは、こんな繊細で情感溢れる歌が似合う場面をドラマの中に想定出来ていたのだろうか? もしそうでないのなら、劇中歌の提供としては失策だろう。ただの新曲のリリースとしてはいつも通り神憑り的なクォリティーだが、出会わせ方は拙かった。演技の巧拙や脚本演出の嗜好以前に、作風への配慮がないという点が気にかかる。

しかし、ヒカルは原作を読み込んでいる。もしかしたら今後のドラマの展開次第ではこの『初恋』という強力な名曲がフィットする場面が現れるのかもわからない。つまり、「出会い方は最悪だったけれど、お互いの事を少しずつ知っていくにつれ、2人はいつしか惹かれ合い…」という少女漫画の王道中の王道の展開が、劇中の男女の間だけでなく、劇と劇中歌の間にも育まれていくのだとしたら、うむ、そちらの方がヒカルの天才に似合ってるな。『あなた』の異常なフィット具合を目撃したばかりなので、それ位してくれないと色々と釣合がとれない。従って私は継続視聴決定です。