無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

10年ぶりのタイトルトラック

『初恋』がリリースされた。

2016年の『Fantome』、2010年の『Single Collection Vol.2』ともにタイトルトラックが無かったから、"アルバム表題曲"の収録は2008年の『HEART STATION』以来10年ぶりとなる。名実共にアルバムの顔となる一曲だ。

1ヶ月以上ドラマ「花のち晴れ」で聴いてきたから今から衝撃的とか言っても説得力が出ないんだが、既に名曲だらけのアルバムにおいて代表を務めるに相応しい重みは、こうやって純粋な姿で会い直して改めて感じ入る。でも、ドラマ内でほぼフルコーラスで披露されていたから、全貌を表したというよりは、スッキリしたという感覚が強い。

『First Love』の『First Love』、『Distance』の『DISTANCE』、『DEEP RIVER』の『Deep River』、『ULTRA BLUE』の『BLUE』、『HEART STATION』の『HEART STATION』。これに『初恋』の『初恋』が続いた。深い意味はないかもしれないが、名前はやっぱり重要だ。

勿論、楽曲としては『First Love』と直接は関係がない。聴く方もあまり関係づけている感じはしない。しかしそれ以上に、かなりアプローチが異なる。

『初恋』はバラードと言って差し支えないと思うが、その魅力の核はサビのメロディーのリズムにある。冒頭からし

『うーるさーいほーどにーたかーなるーむねが』

と一定の符割でメロディーを載せていく。これは例えば『真夏の通り雨』の

『まぶたーとーじてーももーどらーないー』

に類似した効果を与えている。メロディーの流れを保ちながら一定のリズムを刻むことで、流されきらない力強さを楽曲に与えている。

なので、バラードでありながら、過去曲でいえば『Prisoner Of Love』のような気っ風のよさを感じたりもする。もっと言ってしまえば、『FINAL DISTANCE』や『Flavor Of Life - Ballad Version』のように、元々アップテンポだった楽曲をバラードに変化(へんげ)させたきらいさえある。だとしたら、漸く過程の楽曲を発表する事なく着地点に辿り着いた楽曲をいきなり発表できた訳で、過去に較べてもっとも進化したのはこの点なのかもしれない。もしそうだとしたならば、ですが。

過去と比較しなくても、しかしながら、『初恋』は新しい。そのリズムの力強さからの神聖極まりない『I need you』のリフレイン。人類史上最も繰り返し歌われてきたこのフレーズをここまで聖なる雰囲気で歌い上げた手腕には恐れ入る。ライブで再現するのはかなり難しいかもしれないが、その進化を最も表した一節として是非生歌に挑戦して貰いたい。