#裸婦抱く に於ける「ドラゴンボール現象」

『COLORS』からMCを差し挟んで披露されたのが『Prisoner Of Love』だ。泣く子も黙る宇多田ヒカル最初の12年の最高傑作のひとつ。このレベルの曲が「中弛み防止の中継ぎ役」の位置で使えてしまうのだから恐ろしい。オフィシャルYouTubeチャンネル開設当時は『Goodbye Happiness』『First Love』『Flavor Of Life』と並ぶ4大最多再生回数ナンバーだった。今でもその人気は根強く、確認した訳ではないが配信ユニット数では『Flavor Of Life』に次ぐ数字を出しているんじゃないの。『traveling』『COLORS』のオリコン年間2位3位といったわかりやすさには欠けるものの、それらの楽曲と同等以上の人気を誇る曲なのは間違いない。

だが、何度も繰り返してくどい話だが、聴いている最中の感覚とは違い、終わった後の感想としては後半の迫力が凄すぎて、この曲で漸くこれくらいの印象度か、という雰囲気になっている(私が)。『Fantome』『初恋』エラの楽曲はそれ程までに凄まじい。

そういう事後の感想を噛み締めると、何だか「ドラゴンボール」を思い出してしまったのだ。この漫画、戦闘力インフレーション(長編の中で登場人物が際限なく強くなっていく現象)の代表的作品なのだが、お陰で初期の頃は共に戦っていた仲間達が実際の戦闘から次々と脱落していき次第に見守り要員と化していく。なんだか、『Prisoner Of Love』くらいに超強力な楽曲で漸くこの位置を貰えるという状況がそれに似ているような気がしてね。今更ながらヒカルの“今”が途轍もないものだというのを再認識する。贅沢云々を通り越して…ホント、何なんだろうね。

パフォーマンス自体は申し分なく、ストリングスの強調されたアレンジはより『Quiet Version』に近くなった印象だが、まだまだこの曲のライブバージョンには成長の余地があると感じさせた。生での歌唱力も格段にアップしていて、10年前のテレビ披露しか知らない人は吃驚するだろう。これ単体で見た時は、嗚呼これ一曲でチケット代とっくにチャラだわ…とか痛感してたんだが。いやはや、『Laughter in the Dark Tour 2018』公演は、本当に異次元に突入してるよな。感覚が色々麻痺しているわ。