無意識日記々

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#裸婦抱く セットリスト最後見事な選曲

一応最後の曲だとは言ってはいたものの、なんだかぬるっと『Play A Love Song』が始まる。そりゃこの曲だよな、と素直に合点がいく納得の選曲だ。

『Play A Love Song』はアップテンポでありながら、どこかバラードのような優雅さを振りまくのが特徴だ。例えば『This Is Love』が激烈さと包容力という相反する要素を一つの音像で表現しているように、『Play A Love Song』は前向きに進んでいく力強さ(『まだ続く僕たちの歴史』『これからも成長するよ』)と、包み込む優しさや安心(『落ち着いてみようよ一旦』)を同時に併せ持っている。2時間近く緊張感の連続だったコンサートを体感してきた我々聴衆を労りつつアンコールに向けてもう一度鼓舞するような大団円的感慨とこれから何か始まっていく期待感のハイブリッドを演出するとしたら。そりゃまぁこの曲ですよね。

もしこの曲がオープニングだとすると真冬のコンサートなのに『長い冬が終わる瞬間』と歌って始まるのは違和感が出る、とは前に書いたけどこのようにセットリストの最後だと逆に丁度いい感じ。冬の思い出をこの日に刻み、来たるべき春に思いを馳せる。言うこと無しである。

更にセットリストの最後に我々に伝えたいメッセージも一貫する。8年前の『WILD LIFE』ではセットリストのラストは『虹色バス』だった。この時は長々としたMCでヒカルが同曲の『Everybody feels the same』という一節に込めた思いを語っている。でまぁどうみんな同じかといえば『誰もいない世界へ私を連れて行って』という身も蓋もない素直な感情。これを『みんなを乗せて』と元気に歌う歌で歌い切るのが素晴らしかったが、今回も『Can we play a love song ?』と“we”(みんな)が出てくる歌で『Everybody needs sometime alone』、「誰しも時には一人になりたい」と歌うのだ。しかも、十何人?ものコーラス隊を使って。残念ながら舞台上に合唱隊が出てくることはなく録音で済ませてたけどね。兎に角、『虹色バス』とよく似ている。

『Play A Love Song』のライブ・バージョンとしては最後何度も『Can we play a, can we play a love song ?』を繰り返していたのが大きな違いか。コンサートが(一旦)終わる感情を表す上で本当にサマになる。明るく前向きで、だけど切なくて心細くてでもみんなと一緒な事を感じられる。経ましょうこれもやはり『虹色バス』と同じ効果をもたらしていた。『初恋』のオープニングを飾り『Laughter in the Dark Tour 2018』公演の本編ラストを見事に彩った『Play A Love Song』。こういう曲を現役で書けているから20周年がただのメモリアルに留まらないのである。ヒカルの歴史は、まだまだ続くんだと確信させてくれるエンディングだった。勿論この後はアンコールがあるんだけどね!