無意識日記々

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三宅P「アナログは水彩画、ハイレゾは油絵」

さてアナログとハイレゾの試聴だが自分はBRAVIA組だった為本来なら何かコメントするのは憚られる。しかし、聴いてみると確かに違ったサウンドだったのでその点については触れておこう。

単純に、マスタリングが異なるのだ。落としどころが違えば鳴らせるサウンドも違う。それだけのことなのだが、マスタリングエンジニアがそれぞれのメディアの特質を活かそうとするとより大きくサウンドの特色に差が出るのだ。

今までのハイレゾリリースもそうだった。ハイレゾ音源をmp3にしたものと、従来のCD音源をmp3にしたものは別のサウンドになっていた。勿論エンコードの条件は同じにして、だ。それはつまり、ハイレゾ環境を活かす目的を持って“偏った”マスタリングが為されている事を意味する。

つまり、mp3音源ですら“ハイレゾっぽい”サウンドに聞こえるようになっている訳だ。錯覚ではなく、ランダムに鳴らしてもどちらがどちらかわかる程度に。単独で聴いただけではわからないかもしれないが、2つを比較した場合はかなりわかりやすい。

今回のアナログ&ハイレゾリマスタリングも、それぞれが“アナログっぽく”&“ハイレゾっぽく”サウンドが作られていた。これは寧ろBRAVIAのスピーカーから聴いていたからよりわかりやすかったのかもしれない。

即ち、アナログの方が全体的に優しく曖昧に、ハイレゾの方がよりクッキリハッキリとした音の輪郭を描くようなサウンドが“敢えて”作られていたのだ。BRAVIAのスピーカーまでの経路がわからない為断言は出来ないが、それぞれをライン録音してまたmp3にでも落とせばリマスタリングの違いがわかるだろうという推測である。

三宅さんは「アナログは水彩画、ハイレゾは油絵」と言い切ってドヤ顔をして沖田さんを苦笑させていたが、言いたいことはわかりやすい。アナログは音の輪郭が曖昧でその代わりサウンドの濃淡が滑らかだ。ハイレゾは音の分離がよく音場が広く取れ、全体的な迫力がある。沖田さんはアナログサウンドを「鳩尾にパンチを貰うような」というジェスチャーで表現していたが、音の塊がこちらにダイレクトに訴え掛けてくる感覚は確かにアナログサウンドの特徴であろう。

いずれにせよ、原因がなんであれ、アナログマスタリングとハイレゾマスタリングがそれぞれに違ったサウンドであることは間違いがない。楽曲やアルバムを気に入っていてそれを様々なサウンドで楽しんでみたいと思える裕福な方は両方購入して聴き較べてみれれば楽しいだろう。そういう意味では、買って損のないリマスタリングシリーズだと言えるだろう。