なんなん効果

ポルトガルオープン女子単決勝は早田と橋本の対決。2016年高校総体決勝の再現になったが早田が辛くも振り切った。プロツアーの中でもチャレンジシリーズに数えられるポイントの低い大会なのに中国一軍が参加したせいでえらくレベルの高くなったこのトーナメントの決勝が高校総体と同じマッチアップ。世界最高峰のアスリートが貴方の隣で勉強しているかもしれないこの感覚な。今の卓球女子日本代表のレベルの高さよ。早田も橋本も同世代の伊藤美誠平野美宇と遜色ない実力と素質を持っている。一発勝負のトーナメントなら寧ろこちらの2人の方が好成績を残すことも有り得る程。何にせよ中国の警戒網が分散するのは大きなメリットだ。個人競技ながら体質として国別対抗戦の側面も強いところがテニスと大きく違うよね。

一見個々に活動しているようにみえてその実繋がりがあるといえば、ヒカルのツイートが週末にバズったのは面白かったね。ヒカルが『歌姫ってなんなん』と一言呟いたら武井壮が『百獣の王ってなんなん』、吉田沙保里が『霊長類最強ってなんなん』、西川貴教が『声量おばけってなんなん』などとどんどん各界の有名人に伝播していった。それぞれに活動していても皆似たような葛藤というか割り切れない気持ちを抱えていたんだなと。

特に吉田沙保里のツイートはヒカルの14万いいねに対して32万いいね。現時点で。オリジナルの倍以上だ。フレーズが元々ネタ化していたこともあるだろうがいやはや知名度の差がここまであるとはね。お互いギネス記録を持つもの同士だが吉田は「史上最高」“Greatest of all time”だもんな。

なんか、こういう“繋がり”の起点にヒカルがなったのが珍しい。今までどこか端の方にいてなんか凄いことやってるなというか、同業者からすれば天上人で一般人からすればロンドンやらニューヨークやらに住んでいる遠い存在で。インターネットがありゃ今更そんなの関係ないんだけど20年かけて培ってきたイメージからすると少し違うよね。

『歌姫ってなんなん』自体が、その、「イメージからすると少し違うよね」とかそういった我々の勝手な思い込みにチクリと釘を刺す意図があった訳で。他の人たちが追随したのも、彼らも同じように思っていたからであって。普段ならその手の呟きは炎上発端となるので禁句だがヒカルのお陰で「今の流れなら言える」という雰囲気になった。そこはかとない不満をセンス・オブ・ユーモアとして表現できるようになったのだ。

又吉フィルムも似たような手法を取っていた。瓶を割り続ける事で笑いのムードとモードを醸成しているところにヒカルが「歌詞は日記ではない」と普段の不満をストレートにぶつけてきた。あれを真正面からやると刺々しくなるが又吉の演出力でまぁまろやかにオブラートに包んで主張を伝えることが出来た。これからの活動においてもシリアスの権化であるアーティスト宇多田ヒカルの表現を助ける為にそのセンス・オブ・ユーモアは発揮され続けるだろうが、今回はそれが同業者たち、似た立場に居る人たちの助けになったのが新しかったな。愉しい週末になりましたとさ。