無意識日記々

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『Be My Last』のアタマ1つ抜けた高音質

今やアナログと共にマニアへのお布施を加速させる(笑)触媒としてハイレゾ音源も日常的になってきたが、そのハイレゾ・エラ以前のヒカルの音源にも結構高音質なものが存在する。

昔の曲のクレジットを見ると、当時は結構マスター音源の音質が不均一だったようだ。その中で最も音質の高い曲が『Be My Last』である。Appleからリリース・販売されるダウンロード音源のビットレートがまだ128kbpsだった時代に、他のヒカルの曲のマスター音源が24bit/48kHz~96kHzの間に留まる中、24bit/192kHzという現代のハイレゾにおいてすらオーバースペックなサウンドで『Be My Last』は録音されていた。ちょっと何考えてたのと言いたくなるが、ハイレゾ時代到来を見越していたのなら大したものだね。

実際に耳にする『Be My Last』の音質は確かにアタマ1つ抜け出ている。が、それはハイレゾ以外のフォーマットで聴いても同様なのだ。恐らく、勿論元マスターの音質の高さも理由のひとつなのだろうが、それと共に、この曲の演奏編成がシンプルな事が大きい気がする。

ベースにドラム、アコースティックギターにエレクトリックギター、キーボード/ピアノが、犇めき合うことなくそれぞれの見せ場で前に出てくる編曲思想。こうなると俄然ヴォーカルに与えられる空間も広くなる。

一度に鳴る楽器の数が少なければ、当然ひとつの楽器あたりに割ける情報量も増える。普段のヒカルの音源は、例えば『About Me』のようなフォーク・バラードですらチャカポコとリズムが喧しくせわしないのだが、『Be My Last』はフォレスト・ロビンソンの音数を厳選した名演の効果も相俟って、非常にヴォーカルの表情が繊細で緻密に響いて来、それがストレスなく聞き取りやすい。他のどの音源よりもヒカルが身近で歌ってくれているような気分になれる。ヒカルフェチの皆さんはヘッドフォンで是非聴き較べてみてうただきたい。

そんな『Be My Last』の音源を聴きながら、こういった高音質の音源を、即ち表情豊かで繊細で緻密なヒカルの歌声をうまくアピールできる企画はないものかと考える。ちょっと少し話が長くなりそうなのでその話はまた次回から、です。