無意識日記々

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まずは、「ライブアルバム」として。

『Laughter in the Dark Tour 2018』映像商品、音だけ聴いてもまぁ聴き応えのあることあること。当たり前だけど。

まず聴いてて思ったのが、基本中の基本だが、曲が抜群にいいこと。全20曲全く隙が無い。インタールードに又吉直樹が挟み込まれてて本当によかった。他は息つく暇も無い、というとちょっと違うかもしれないが全部が全部楽しくて遊園地帰りの電車で眠りこくる小学生になったみたいな聴後感。なんだそれ。

まぁね、ヒカルが真に恐ろしいのはこれとほぼ同じクオリティのセットリストを1曲もかぶり無しでもうひとつくらい作れてしまう事なんだけどね。曲の知名度とか思い入れとかは別として。だってあの名曲もこの名曲も歌っていないんだもの。

そしてもっと恐ろしいのは、それらとまたほぼ同じクオリティの楽曲を20曲、全英語詞曲でも揃えられてしまうこと。もうクソ化け物としか思えない。歌唱力も素晴らしいがやはり宇多田ヒカルは後世に最も“作詞家・作曲家”として語り継がれるに違いない。嗚呼、これが本当に2枚組のライブアルバムとしてビルボードにでもチャートインしてたらなぁ。もうそんな時代じゃないけどね。

で。それを踏まえた上でちまちまと総評から。

全体的に「歌唱に余裕があるなぁ」という印象を持った。それは自分が観たコンサートが全体の2日目だったのに対してこれが最終日のパフォーマンスだからだろうか。端々の節回しに幾らかの“遊び”が加えられていたのは、横浜アリーナではまだあまり聴かれなかったような気がする。ここまで約1ヶ月、やはり歌い慣れてきていたんだろうな。もっと長々とツアーを続けててもよかったかもしれない…

…という感想を持ちつつ一方で「ここらへんで潮時だったのかも」とも思った。歌唱/歌い方に関しては余裕と遊びが生まれていたが、声そのもの、声質に関しては横浜アリーナで聴いた時の方が艶やかで張りがあった気がする。ごく粗く表現すれば、やや声が荒れ始めていて潤いが足りない場面が幾つか見られた、というか。全体的に、気にするほどではないにしろやや音程がフラット気味だったようにも思うし。『誓い』なんかは寧ろシャープしてリズムも前のめりでみたいなパフォーマンスだったけれど。

という事で言えば、珍しくシューティング・コンディションとしては結構いい日を選んだのではないかな。『UTADA UNITED 2006』は日を外したし『WILD LIFE』は選べるほど日がなかったが、今回は最終日且つデビュー20周年記念日をシューティングに選んで概ね正解だった。まだ一回しか聴いていないけれど、少なくとも気がついた範囲では修正らしき箇所はみつけられていない。2018年12月9日かどこかでヒカルが実際に生で歌った歌がそのまま収録されている。その意味でこれは、この作品『Laughter in the Dark Tour 2018』は、非常に生々しいライブアルバムであると言えるだろう。

そして何より、抜群に音がいい。この話はどうせ長くなるから(笑)また次回ね。