無意識日記々

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360Rの強みと弱みは表裏一体

360Rの強みは、今まで書いてきた通り音の出所の位置が明確な点である。方々から確実に歓声が響いてくる。故に人々に取り囲まれているように感じる。

そして、現時点での360Rの弱みもまた同様にその定位の正確さなのだ。いや寧ろ精確に過ぎるのがいけない、とでも言おうか。音を聴いているだけならまだいいが、今回のソニーストアデイズの企画では『Laughter in the Dark Tour 2018』映像商品の映像を流して聴かせた。少し刺激的に言えば、ここが失敗だったのだと思う。

御存知の通り『Laughter in the Dark Tour 2018』の映像商品は取り立てて奇異なところのない、普通のライブビデオである。即ち、主役であるヒカルがアップになる場面もあればステージ全体を映す場面もあり、観客席を撮影する場面もあるし横からも正面からも撮影されている。それらを編集して構成した至ってノーマルな作品・商品だ。

そこに360Rの映像を被せると妙な事が起こる。自分は観客席の中に埋もれてまるでライブ会場に居るかのようなサウンドを浴びているのに、視覚入力の視点はころころと変わるのだ。それは舞台の上だったりコンソール卓付近だったり反対向き(舞台側)からの視点だったりする。そして、360Rのサウンドはそれに合わせて定位が変わるわけではない。故に、映像と音声を素直に浴びていると徐々に奇妙な感覚に囚われていく。映像と音声の繋がりが薄くなっていくのだ。(まぁ実際同期も甘かったんだけどねー映像が遅れてたのよ私の観た回は)

これを解決する方法は至ってシンプル。目を閉じてしまえばいい。今の所、360Rのサウンドが齎す臨場感を最もよく味わえるのは目を瞑っている時なのだ。実際自分もその事に気がついて目を瞑ってみたらそのサウンドに包み込まれる感覚にゾクゾクした。いやぁ、あれはいいぜ。ついつい飲み込まれてしまって、しかも前に書いた通りそのサウンドに取り囲まれる事自体が大きなリラックス効果を生むものだから一瞬寝落ちしかけた事もあったと白状しておこう。ほんと仕事帰りの疲れた状態で行ってみたい部屋だよあれは。

で。今の所「目を瞑る」のが最良解だが、もしそれでも映像と共にこの360Rサウンドを楽しみたいというのなら、そう、皆さんも御存知のアレを使えばいい。3DVRである。

3DVR。待ち時間がゼロだったので今回初めて試してみた。もう2曲の間ずっと「ヒカルほっそ!ヒカルほっそ!」とばかり呟いていたが、そう、これを使えば視認空間上に固定された映像が提供できるのだ。これに360Rの優れた定位を組み合わせればよい。そうなって初めて、360Rも3DVRも完成するだろう。まさに「あなたの部屋が一瞬でライブ会場に早変わり」が実現するのだ。ワクワクものである。

実際今回初めて3DVRを試してみて、確かに右を向くと右の様子が、左を向くと左の様子が見えるのだが、音の方向は変わらなかった。こんなものは慣れなので「そういうものだから」と思えてしまえばそれまでなんだが、こだわり始めるとそれはそれは長い旅路になる。つまり、3DVRのゴーグルは装着するがヘッドフォンは着けず、360Rの13.1chが設えられた部屋の真ん中にじっと座る事になる。それによって漸く、360Rの定位の良さが映像とシンクロして“報われる”のだ。

それが技術的に可能かどうかは知らない。あっさり実現しそうでもあるし、思わぬ落とし穴もあるかもしれない。わからない。だが、試してみる価値はあるだろう。果たしてどんな結果が待ち受けているか。それまでの360Rは、時々目を瞑る感じで楽しんでおきましょうて。