無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

アスファルトを照らすのは私たち!

traveling』の英訳詞は本当にノリノリで。以前に『目指すは君』=『Destination : You』を紹介したがまだまだあるぞ。

例えば最初のサビ。

Traveling 君を

 Traveling 乗せて

 アスファルトを照らすよ

 Traveling どこへ

 Traveling 行くの?

 遠くならどこへでも』

ここはこう訳されている。

Traveling Got you in my ride,

 we're illuminating the asphalt

 Traveling Where are we going?

 Anywhere as long as it's far away』

Traveling”は字幕では奇数回目が省略されてちゃんの意味の通る文章になっている。即ち

『Got you in my ride』=『君を乗せて』

『Where are we going?』=『どこへ行くの?』

である。

この、『Got you in my ride』のやや強引な感じがいい。「君を乗せて」をGoogle翻訳にかけると“Put you on”になる。なんだか物理的に君を車の中には移動させましたけどという感じだ。『Got you in my ride』はなんだか私のドライブに強引に君を巻き込んだ感が出ているのが非常によろしい。そういう意味でのノリノリ感だ。

更に次だ。『アスファルトを照らすよ』。Google翻訳にかけると“I shine the asphalt”。まぁそうだよね。ここをヒカルは『we're illuminating the asphalt』と訳した。

何より主語が“we”である。さっき強引にドライブに巻き込んでおいてもうweである。乗ったからには君も共犯だからね!という強い押しつけぶりが窺える。後の『Kiss & Cry』で云うところの共犯と同じ感じで。そして『照らすよ』が『illuminating』。つまりイルミネーションだ。都会のイルミネーションのように僕らの乗ってる車がアスファルトを彩っているよという雰囲気。まぁこれは深読みのし過ぎなのだがそもそも『traveling』のサウンド小室哲哉の方法論を意識して作られている。ヒカルにとって邦楽三大名曲といえば藤圭子ベルばらそして『Get Wild』だ。同曲に『アスファルトタイヤを切りつけながら暗闇走り抜ける』という歌詞が出てくるがこの部分はきっとヒカルなりのアンサーセンテンス。「先輩たちは暗闇走ってたけどそれじゃ危ないから!あたしたちはちゃんとライト点けて走っかんね!でも勢いじゃ負けないよっ!」っていう。今やヒカルがパイセンだけどね。

その心意気を反映する“illuminating"。照らすだけでなく彩ったり飾ったりという感じを付加する。これを"we"でやるのだ。サウンドと歌詞でリスナーをどんどん巻き込んでいく勢いをこのサビの訳し方から強く感じる。『traveling』を英訳している時、きっとヒカルもノリノリだったに違いない。見てるだけで楽しくなってくる英訳である。