無意識日記々

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閑話:ヴァイオレット・エヴァーガーデン

何故だかやっと書きたくなったので触れてみる。京都アニメーションの最新作、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 -永遠と自動手記人形-」についてだ。

この度『Laughter in the Dark Tour 2018』映像商品の英語字幕を目的にNetflixのお試しを始めるにあたって、真っ先にアクセスしたのはその映像商品ではなく『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』全13話の方だった。まだ観てなかったのだ。

結果、5時間半泣きっぱなし。誰にも見せたくないくっしゃくしゃの顔で全話観終える事となった。なお未見の人に忠告しておくが、必ずエクストラ・エピソードたる第13話を時系列順に第4話と第5話の間に差し込んで観る事。でないといきなり話が飛ぶ。最初面食らったよ。最終第12話への伏線もあるしね。

さておき。で。現在劇場で観られる「外伝」の話。上映時間90分で、明示はされていないが3話構成とみてよい。つまり、テレビシリーズの体裁を映画館で上映してみましたという、本来ならどちらかといえばテレビシリーズを観た人に向けたサービスとしての劇場公開だ。名前も「外伝」だし、上映期間も当初は二週間だったし上映館も限られていたし。作品のファンに対するプロジェクトだった。

しかし実際に鑑賞してみると、内容としては初見さんでも充分に楽しめる作品になっている。確かに説明不足ではあるものの、主人公が戦後を生きる代筆屋だという設定さえ頭に入っていれば問題なく物語を追えるだろう。

クオリティとしては、劇場公開だからと力むことはない、テレビシリーズと大して変わらない内容だ。即ち、変わりなく素晴らしい。テレビシリーズを全話観たような人は観て損はないし、観なくても大して痛手はない。外伝なので本筋にあんまり関係ないからね。テレビシリーズが未見の人は、昔で言えばフジテレビの世界名作劇場フランダースの犬とか赤毛のアンとかね)みたいなのが好きなら是非どうぞといったところ。いつ観ても普遍的な魅力を放つ良心的な佳作である。

一方で、アニメーションのとしてのクオリティは、これまたテレビシリーズ同様とんでもなく高い。全カット暗喩じゃないのという位ひとつひとつのモーションが意味深で、深読みしながら観ても楽しい奥行きをみせてくれる。のんびり観ても楽しいし、マニアックに眺めていても楽しい。全方位型の作品だと思う。

ほんと、2019年まで来ると深夜アニメはここまで進化するんだなとほとほと感心するしかなかった。そこらの実写映画ではとてもこの表現力には敵うまい。映画は勝ち負けではないと思うが、あらゆる表現者の臍を噛ませるだろう圧倒的なクオリティだ。例の絶望的な事件の事は総て抜きにしてもオススメである。まぁ、リラックスした内容なので、無理に劇場で観ずにレンタルや配信を待ってもいいとは思うけど、京アニの何たるかを再確認するにはうってつけの90分、折角上映期間も4週間になったことだし、お暇なら如何ですかと小さな声で取り敢えず言っておきたい。