無意識日記々

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僕らの頭の上を飛び越えての遣り取りを

前回書いたようにヒカルは陽水から”尊敬される方”なのだ。これは結構なプレッシャーである。というかそれって”トリビュート(貢ぎ物)”と言っていいのかから疑問になっちゃうけども。

ヒカルの方は、言及したことはないが、当然陽水を大尊敬しているだろう。藤圭子のもつ不世出の記録といえば「アルバムチャート37週連続1位」だがこれは2枚のアルバムを合算したものだ。単独のアルバムで”通算”1位回数歴代最高は井上陽水の「氷の世界」の34週なのである。まぁ何が言いたいかというと、70年代に孤高の歌手だった藤圭子と並び称されるかそれ以上の実績をもつごく僅かな音楽家のうちの一人なのだ井上陽水は。Pop Musicianであり藤圭子の娘である事に誇りを持つヒカルが尊敬していない訳がない。でなくば二十歳の誕生日なんていう人生の節目の日に「少年時代」を歌おうなんて思わんからな。実際イタリアンのお味はどうだったのかねぇ。

ということで、周りが思っている以上にヒカルは気合いが入っているとみる。

だが更なるプレッシャーがあるよね。5年前の『宇多田ヒカルのうた』アルバムで陽水が披露した『SAKURAドロップス』が余りにもインパクト抜群だった事だ。好き嫌いは抜きにしてあのテイクはリスナーに強烈な印象を与えた。

こっちは別にあれを超えて欲しいとかではないのだけれどヒカルからしたら「してやられた感」が強いんじゃないかなぁと。ただ上手く歌っても駄目、みたいについつい思ってしまったんじゃあないだろうか。

そこからどんな結論を出したか、だ。井上陽水のただの期待ではなく”尊敬の眼差しを含んだ期待”に応えるというのは、我々のように上手い歌唱が聴ければOKなちょろいリスナーを満足させるのとは訳が違う。我々を差し置いて、それぞれに日本市場史上最高記録を保持する伝説的なミュージシャン2人がどんな”対話”をしたのか、それをみせて貰えるのではないか。そんな風な期待をしていますよっと。