無意識日記々

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in the days, through the storms.

Netflix英訳詞字幕のお話。

今回は『Prisoner Of Love』だ。

『病める時も健やかなる時も

 嵐の日も晴れの日も共に歩もう』

この部分は所謂結婚式での宣誓の言葉がベースになっている。検索してみると英語ではこんな風に言うらしい。

─ for better or for worse,

(いい時も悪い時も)

─ for richer or for poorer,

(富める時も貧しき時も)

─ in sickness and in health,

(病める時も健やかなる時も)

ところがヒカルはこう英訳した。

─ Through sickness and in health

(病める時も健やかなる時も)

─ Through storms and in good weather

(嵐の日も晴れの日も)

─ We shall walk together

(共に歩もう)

病気や嵐といった苦難の時にはthroughを、健康だったり晴れていたりといった良い時にはinをそれぞれ使っているのだ。元ネタの宣誓の台詞にはこういう区別はない、ようだ。

この使い分けによって「苦難に打ち勝ってよりよい日々を得よう」という強い決意がより浮き彫りになる。両方がinだと「何があっても変わらず平常心で」みたいな空気が漂うが、throughとinを組み合わせた方は「そもそも我々の前途は多難だとわかっているのだから」といったある種の悲愴感を纏っている。『Prisoner Of Love』はテレビ・ドラマ「ラスト・フレンズ」のテーマ・ソングだったが、同作を御覧になった方ならばそのニュアンスの違いに拘りたいのも御理解うただけるだろう。

そして、ヒカル自身も、この『Prisoner Of Love』という曲自体が単体で「苦難に立ち向かう決意を歌った歌」なのだと強調したいのだということがこの英訳詞からわかるわけだ。やはりこのNetflixバージョンを繙くのはやめられないぜ。日本語の歌詞をより明晰的に理解できるからね。