無意識日記々

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ヒカルさん15歳頃の歌詞構成術

前回最後駆け足過ぎたかな。もちょっとだけ具体的に書いておくか。

『In My Room』に関しては前に述べた通り。

1番サビ2節目:夢も現実も目を閉じれば同じ

1番サビ4節目:ウソもホントウも口を閉じれば同じ

2番サビ2節目:夢も現実も目を閉じれば同じ

2番サビ4節目:ウソもホントウも君がいるなら同じ

3番サビ2節目:夢も現実も目を閉じれば同じ

3番サビ4節目:ウソもホントウも君がいないなら同じ

各々のサビ2節目が同じ『夢も現実も目を閉じれば同じ』であって、これが歌詞の“柱”となっている。

1番サビ4節目が1番サビ2節目と対になり、

2番サビ4節目が1番サビ4節目と对になり、

3番サビ4節目が2番サビ4節目と对になり、

という風に歌詞の配置が非常に構成的・構築的だ。恐らくヒカルの歌詞の中で「組細工」タイプに近いのはこういうのを指すのではあるまいか。

『Movin' on without you』の歌詞も組み立て方がわかりやすい。歌詞の構成がそのまま場面転換・時間推移になっているからだ。

1番出だし:夜中の3時AM 枕元のPHS 鳴るの待ってる バカみたいじゃない

2番出だし:用意したセリフは完璧なのにまた 電波届かない午前4時

1時間経っても結局連絡が来ない・出来ない様を直接描いている。勿論『時計の鐘』『ガラスのハイヒール』でシンデレラの魔法が解けた午前0時以降の物語をである事を示唆した上で、だ。現実と向き合わなきゃいけない深夜の時間帯に1時間逡巡している様を表しておきつつサビに

『いい女演じるのはまだ早すぎるかな』

という見栄と沽券と不安と本音が入り交じったセリフでトドメをさす、という構成になっている。追記しておくと、斯様にAメロで状況を説明してサビで心情を吐露する、というスタイルは『初恋』に至るまでのヒカルの作詞術の伝統でもある。

……あれ? 寄り道し過ぎてるかな。まぁいいや。昔の歌の歌詞の復習をするのもたまには悪くないだろうて。気侭に書いていきましょう。