無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

エヴァ側からみたシンジくん

ダヌパって親離れできるのかなぁ。母親が宇多田ヒカルってあーたそこ絶対離れたくならないよね。史上最強の実母溺愛キャラになっても同情しかないわ。

長期的な作風の変化を考える時、歌詞の面でいえば『あなた』が転換点になるのはほぼ間違いない訳で。それまで母を慕う娘目線ばかりだったのが息子を思う母としての目線を初めて明示的に表現したという点においてね。

明示的でなければ、例えば2007年の『Beautiful World』では“(永遠に14歳の)少年の視点”を描く一方、それを優しく見つめる目線もまた内包している事に後から気付くなどして次の2008年の『Stay Gold』では母親とまではいかなぃでもかなりの“おねぃさん目線”で若い男の子を愛でる歌詞を書いたりした。その時の思い出が『揺れる若葉に手を伸ばし』と2015年の『真夏の通り雨』に歌われていると解釈すると感慨深いねー。まぁそれは置くんだけども。

なので資質としてはヒカルは“母目線”の歌詞を既に幾らか書いていたとも言える。それが自覚的になり明示されるようになった。その転換点として『あなた』があり『Laughter In The Dark Tour 2018』ではオープニングを飾っていた。実際の選曲はなりくんだがヒカルが選んでもこれだったのではないか。

自らが母目線をメインに据え始めると共にもう一方で息子側の視点からの世界も認知し始めたのがこの数年の特徴だろう。赤子の頃の無意識の世界や今の母親のスカートをめくる感じなど、新鮮な世界がそこに広がっていそうだ。

この流れの中で「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」の主題歌を歌う訳だ。「序」の『Beautiful World』から13年。あの頃と同様に、このシリーズの根源のテーマである「母と子」について両方の視点から歌詞を書いてくるだろう事は予想できるが、ヒカル自身の立ち位置が随分と変わった為その表現の軸足は変化しているとみるべきか。即ち、母親としての視点を中心にして、そこから回り込んで少年の目線も入り込んでくるような。そう考えると昨年末に井上陽水の「少年時代」をカバーしたのもこの数年の作詞作風の流れに沿ったものであったようにも思えてくる。

『私からすると今この歌は、息子を見て思うこともあれば、もちろん自分の幼少期のことを今振り返って思うことと、目の前で息子を見ていることによってそれをまた振り返りさせられてもいる。この状況。』

例の井上陽水特番の時のヒカルによる「少年時代」についてのコメントだ。この視点の推移が「シンエヴァ」の主題歌にも活かされているのではないだろうか。恐らく既に完成しているシンエヴァの主題歌。『あなた』を結節点とした歌詞の作風の変化のまたひとつ大きな帰着点になりそうな気がしている。