無意識日記々

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Is it time to be passionate?

既述の通り、TVドラマ「美食探偵 明智五郎」の音楽を担当しているのはヒカルの「少年時代」でバックの演奏を担当しているEnsemble FOVEの首謀者坂東祐大(ばんどうゆうた)だ。となるとこれは、『Time』に於いてもEnsemble FOVEのストリングス・サウンドがフィーチャーされているのではないかという期待も出てくる。もっと踏み込んでいえば、「作曲:宇多田ヒカル/編曲:坂東祐大」とか「作曲:宇多田ヒカル&坂東祐大」なんてクレジットなのかもしれないのだ。配信だとそういう表記が適当で困る。2000円払うからクレジットちゃんとしてくれ。いやまぢで。それはさておき。

昨年11月29日のツイートを思い出してみよう。

@utadahikaru : 坂東さん、FOVEの皆さん、「少年時代」のレコーディングからもう二ヶ月ですね!お元気ですか?クリックなしのフリーテンポで、みんなで呼吸を合わせていく感覚とても熱かったです。ありがとうございました。

こんな感じだ。なんとまぁ、ストリングスをバックにライブ・レコーディングの手法を取った事を匂わせている。この時の手応えをどれだけ成功と見積もったか、だろうな。

Ensemble FOVEは編成としては室内楽に分類される、かな。いや勿論、Ensemble FOVEを核としたフル・オーケストラを使っても全然構わないのだが、いずれにせよ弦の響きをバックに歌うヒカルの神々しさは『Laughter In The Dark Tour 2018』を観た人ならよくよく御存知だろう。映像商品で観ている人も出来るだけ音量を上げて聴いてくれれば伝わる筈だ。凄いことになるのだ、という事が。

中村倫也のコメントから察するに、方向性としては『Passion』の『after the battle』と『orchestra version』の中間位になるのではないかとちょっと想像している。

ここで『Passion』の名が出るのさ、この曲のリリース当時にヒカルが語っていた「時間観」が余りにも印象的だからだ。曰く、「12歳の私も42歳の私も今の22歳の私と共に在る」と。つまり、ヒカルにとって時間とは、過去も未来も同等に現在とひとつになって存在しているものなのだ。

満を持して『Time』というタイトルの曲を宇多田ヒカルがリリースする。となれば、そのヒカルの独特の時間観が反映されているだろうという予想と期待の両方がある訳だ。『聖域/Sanctuary』において止まった時間、凍りついた時間を一望に眺めるような超常的で神秘性に溢れた曲調になるのか、或いは逆に、世俗的な「時間の流れ」を感じさせる曲調になっているのか。どうなのだろう。

『Passion』は、『single version』において最後のパートで凍っていた時間が流れ出すかのような演出が為されていた。『ずっと前に好きだった人〜』のパートだ。あそこで通俗的な時間観に回帰することが現世との接点を生じさせる。それがこのバージョンの『single version』=「市場において不特定多数のリスナーにアピールすることを意図したバージョン」たる所以だった。『Time』という曲は、神秘と世俗とどちらなのか、或いはそれら両方を持っているのか、それとも、そのどちらでもないのか。うーむ、もうあと4日で、ほんのちょっとだけかもしれないけど、聴けるの? 聴けちゃうの? 早く聴きたいから時間がすぐに経って欲しいという思いと、心の準備がまだ出来ていないから時間が暫く止まってて欲しいという思いの両方があるわ。願わくば、そのどちらの思いも受け止めてくれる大きな歌だといいな。