無意識日記々

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きせきのさつき

同じ言葉でも置く文脈で意味が変わるというのはPop Songにとってなかなかに致命的でな。CMソングとかに採用されるなら15秒の響きで誤解を与える訳にもいかなくて。

一方ヒカルさんはそういった状況すらも利用しようとする。CMで雪景色をバックに『クリスマスまで待たせないで』と歌えばそりゃクリスマスソングだろうと思うわな。でも冷静に歌詞を読むと「クリスマス関係なく愛してる/愛されたい」というアンチクリスマスソング。うまいというかなんというか。

そんななので、ファンからは『Time』にせよ『誰にも言わない』にせよそれなりに警戒されている。ヒカルさんの意図としては、今そこで流れている言葉だけで解釈してくれていいというのがある筈なんだがファンは心地よい疑心暗鬼タイムに浸っている最中だ。『Time』に関しては、その時間がもうまもなくほどけてしまう。勿体無いような切ないような。3番の歌詞まで判明しているのでまぁ流石にここからうっちゃってくるとは思えないが、ほんの僅かでも疑えている時間てのはほんとに尊い。夢なら覚めないでとはこういうときに言う言葉なのかな。

ある意味、皆の中の“理想の『Time』”をぶっ壊して本尊の『Time』は姿を現す。ドラマの第1回で流れたほんの僅かのイントロダクションですらオールドファンを圧倒的に魅了した。比喩で「約束された勝利」とも言いたくなるが、それでも、ぶっ壊した跡地に差し出す完成品への評価に対してヒカルさんが絶対的な自信とやっぱり拭えない不安を併せ持っているこの時間帯もまた尊い

その尊い時間帯のヒカルさんの生の声を、明後日日曜日の夜に聴くことが出来る。これは結構珍しい。普段のプロモーションは大体楽曲の完成品を披露して回るものだったからね。今の自信と不安に彩られたヒカルさんの生の声は、もしかしたら滅多に聞くことのできなかったトーンになっているのかもしれず。嗚呼、シンガーソングライターの新曲発表前のドキドキってこんなのなんだねと画面の前で納得出来たりしたりすりゃなんというか心が萌え盛りますねぇ。

何もかもが貴重である。第1回の自信と不安、第2回の、『Time』の好評を直に浴びた上での莫大な安堵とほんのちょびっとの悔恨と。そしてそれは、今度は『誰にも言わない』の発表前の自信と不安に混じり合っていく。これはみもの以外の何ものでもない。心がぞわぞわし始める。奇跡の2020年5月、本日スタートですよっと。