無意識日記々

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志村けんは偉大だなぁ

昨夜のインスタライブ第2回で目を見張った采配は中村倫也による「ジャンケン・リクエスト」だった。その発想はなかったわ

第1回の『自宅隔離中のヒカルパイセンに聞け!』を御覧になった中村倫也はそれを「キュート過ぎる」と評していた。如何にもわかっている人の物言いだが、そこで見た最後の幕引き方に迷ってるヒカルに第2回のゲストとして助け舟を出しつつ、視聴者も楽しめ、更に少しSっ気のある提案として「ジャンケンをしろ」と。日曜晩だからサザエさんと同じにと。自然さ、流れ、意図、タイミング、物腰、何もかもが上手い。考えたもんだ。YouTuberで当ててくる筈である。こういう人は主役より脇役タイプなんだけど、なるほど、「美食探偵 明智五郎」でも、一応クレジット的には主役だが、小池栄子小芝風花のダブル・ヒロインを立てる脇役的演出に徹しているな。彼をキャスティングしたセンスも素晴らしい。

で、そう言って去った中村倫也を見送ったあとひとりになったヒカルがジャンケンにチャレンジするのだが、まー躊躇うこと恥ずかしがることこの上ない。あとでタイムラインを見たらその恥じらいに萌え死んだ人続出だったそうで、中村倫也の策士ぶりたるや。ありがとう、ありがとう。

余りに照れるので「今回だけ」と予防線を張ったヒカル。次回以降もチャレンジしてくれて一向に構わないが、確かに、部屋に誰もいないのにジャンケンの掛け声を自ら始めるのはハードルが高い。磯野サザエはアニメだから自分のタイミングで繰り出せるのだ。リアルでは難しい。

そこでふと思い出したのが「最初はグー」だ。テレビで志村けんがやっているのを初めて見た時は「あいこだとわかっている手を最初に出し合って何の意味があるのか」とやる理由がサッパリわからなかったのだが、実際に自分で試してみて目から鱗。すごくジャンケンがしやすくなるのだアレ。

ジャンケンは2人以上が手を「同時に出す」事が求められる。相手の手を見てこちらの手を変えていたら勝敗に偏りが出るからだ。コイン無しでもコイントスの代わりが出来るからには勝敗は常に等分率でなくてはならない。なので「同時に出す」のは必須なのである。

しかしこれが案外難しい。いや、実際は難しくないのだが、会話などの流れからジャンケンのスタンスに入るのが結構心理的抵抗がある。それが昨夜のヒカルだった訳だ。

「最初はグー」はこの障壁をあっさり取り払う。何を出すかが決まっているのだから「同時に出す」というプレッシャーが無い。遅れても早くてもいいのだ。なので最初の掛け声で誰しも気軽にグーを出す。そうすると他の人達と“ジャンケンのリズム”を合わせる事が出来るのだ。そこまで行ければジャンケンにチャレンジするのは凄くカンタンになっている。よくよく考えられた手法だ。

多分、別に志村けんのオリジナルではないのだろう。なんだか野球挙で体良く脱がしていく為に編み出された匂いがして仕方がないのだがそんなあられも無い邪推はさておいて、志村けんがこれを全国的に広げた功労者であることは間違いがない。彼の“リズム”に対する感覚とそれをバラエティーに取り入れる独特のセンスは他の追随を許さない。実際、かの素晴らしきヒゲダンスは加藤茶が人前で喋る事に疲れた時期に志村が編み出したネタだったという話だし。テディ・ペンダーグラスの“Do Me”のイントロのリズムにファニーさと隠し芸的出し物との相性の良さを見抜いて起用したその音楽的笑いへの洞察観な。今更ながらに惜しい人を亡くしたものだ。

「次の展開にスムーズに入る為のひと工夫」という点であればヒカルも負けてはいない。新しい所では『Time』の3:49だ。そこから最後のサビの『友よ…』と歌い出す直前に左チャンネルから『Hohh....』と食い気味にヴォーカルを入れている。これがあるとないとでは接続の自然さが全く異なるだろう。ただでさえ突拍子も無い展開の中で、この一瞬のアイデアが楽曲の形状を堅固に保持していく。これもまた音楽的センスの賜物だろう。もしかしたらライブではここにひと工夫要るかもね。今から生歌でどう料理するかが楽しみである。でもま、とりあえずそれよりも、ひとまず今楽しみなのは来週のエンディングでじゃんけんしてくれるかどうかの方なんだけどなっ!