無意識日記々

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なぞなぞは解けないまま? 魅力的? 魅力的?

ファンの間での『Time』の歌詞解析が順調に進んでいるようだ。よきかなよきかな。私が楽を出来る(笑)。

ヒカルが19年前にフジテレビの検察官ドラマ「HERO」の主題歌『Can You Keep A Secret?』を提供した時には、主演が木村拓哉(と松たか子)ということもあり、ヒカルが書いたのは謎解きをメタファーにしたラブソングだった訳だが、実際の「HERO」は恋愛方面がえらくドライで軽い謎解きを主体とした「古畑任三郎」などに近いテイストだった。

さて19年後。今度は日本テレビ系のドラマ「美食探偵 明智五郎」の主題歌を担当。こちらのドラマはタイトルに「探偵」とあるから謎解きが主体かと思いきや、実際は探偵と弁当屋と殺人鬼の奇妙で耽美な恋物語。こういう作風にどんな歌を当てればというところだったが、その『Time』、描かれるストーリーが恋物語である一方、その描き方の手法がやや謎ときめいたもの。ドラマの方が謎解きと恋愛どちらに演出の比重を置こうともひとつの歌で双方対応出来る横綱感覚のタイアップ提供。流石である。

冒頭から『カレシにも家族にも…』と続いてこの恋物語の2人の関係性が果たしてどんなものであるのかを次々と示唆していく『Time』の構成は、それ自体がまるで推理小説であるかのように築き上げられていく。結局、フルコーラスを聴いて漸くその概要が掴めたか掴めていないかというところでリスナーは放り出されるのだが、ここらへんがPop Songとしてなかなか憎い(小憎たらしい)ところだわな。

だが、恐らくヒカルはこれで終わるつもりはない。これは既に他の人も指摘している事だが、恐らくこの『Time』の続き、物語の結末を描く事になるのが次に発表される新曲『誰にも言わない』なのだろう。これは、『Time』の歌詞をフルコーラス紐解いてみた人なら納得ができるのではないだろうか。2人の関係が「誰にも言えない」ものになっている事を。

『誰にも言わない』自体が『Can You Keep A Secret?』に対するアンサーソングである。“疑問文タイトルの歌に対するアンサーソング”という時点で既に面白いが、「誰にも言わない?」と問われて『誰にも言わない』と返しているとすれば、これは総てへの肯定であり、と同時に、直近曲『Time』への肯定でもある筈なのだ。そもそも、曲調からして対であろう事が予想されている。昔ながらの宇多田ヒカルサウンドの王道を貫いた『Time』と、恐らく新機軸満載の『誰にも言わない』と。どうなっていることやらですよ。

即ち、この月末に『誰にも言わない』のお披露目がある訳だが、その際には今一度『Time』のお浚いをしておくのが楽しいだろうという事だ。宇多田ヒカルの手練手管はまだまだ、こんなもんじゃない。どんどん楽しませておくれよ。