無意識日記々

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Trauma, Tattoos & Time

インスタライブ第4回、ヒカルが「トラウマの克服」について語った箇所は見所聞き所だった。特に、「(心の傷は)身体の傷と同じ。治るものもあれば治らないものもあるし、治りが遅いからといって自分を責めるものでもない。」という旨を語ったのは白眉というか。目から鱗な人も多かったろう。

他方、千葉くんが左側頭部に喪った飼い犬の刺青を彫っている話もしんみりほっこりした。これは言わば、喪った時の悲しみや楽しかった思い出などを“身体の傷”として刻み付けているのだわね。

この二つ箇所の描く対比。ヒカルは心の傷を身体の傷のように捉えようと言い、千葉くんは心の傷を身体の傷に代えて刻み込んでいる。彼は、ヒカルの言う事を“実践”したのだ。心の傷(といってもよい思い出も含めてだろうけど)を身体の傷にかえることで、それこそ自分を責めたり苛んだり途方や悲嘆に暮れたりする事から離れたのではないだろうか。

また、彼は刺青を掘り直す事はせず、薄れていくままに任せるという。また、それに趣をも見出している。心の傷も、消えゆく刺青のように、時間と共に薄らいでいける。それを可視化し続けるのだとしたら、消えゆく刺青は確かに非常に趣深い。

ヒカルも応答の最後に時間の効果を強調していた。やはり癒すも残るも時間が教えてくれるのだと。これはデビュー曲の『time will tell』(『時間がたてばわかる』)から一貫して歌われている事であり、未だにその哲学や思想にかわりがない事を我々に教えてくれる。もっとも、それすらも“time will tell”、時間が教えてくれる事なのだと、最初から歌われてるんだけどね。

そして『Time』。『time will tell』から不変で普遍な思想を前にして、このタイトル。インスタライブ中に、この曲の仮タイトルが「親友が投与されている抗癌剤の名称」だというのが明らかにされた。先週に引き続きサラッと言うものだからこちらの戸惑いも倍増なのだが、特技も相変わらず『惑わすこと』のまんまだねぇ。

そのさり気なさに、途方も無い強さをみる。前段でまた触れた「後悔/regrets」に関する問答と共に、「戻らぬ時間」の非情を、ヒカルはどう受け止めたのか。癌は進行する病気である。若いなら尚更だ。40代前後だもんね。ならば、時が戻るなら、いやさ戻らずとも少しでも進みが遅くなってくれればと祈った事もあったのかもしれない。時に抗うのは魔法のようなものでなければ、という絶望は『呪文』の一言に集約されている。まじないでもありのろいでもあり。誰よりも時の本質を知るからこそ、時間観が揺るぎないからこそ感じる切なさが込められた『Time』の歌詞を吟味してからもう一度インスタライブ第4回を観直してみるのもいいかもわからない。IGTV動画公開終わっちゃったけどね。ストーリーズじゃないんだから、なぜわざわざ手動で消すのか意図がよくわからないけれども…昨夜も消し忘れてて指摘されて慌てて削除してたっぽいし。あとから纏めて商品化する予定ならOKだけどね☆ 何度観返しても、いいものですよこれは……。