無意識日記々

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賞味期限:少なくとも20年以上

本日はシングル盤『For You / タイム・リミット』発売から20周年記念日ということで。メデたいぜ。

最新シングルが『Time』&『誰にも言わない』なのがまた感慨深いのよね。『Time』は「昔の宇多田ヒカルサウンドだ!」とファンを狂喜させたが、具体的にどこらへんのサウンドに通じているのかといえば『In My Room』やこの『For You』だろう。ヒカルの最近の趣味でいえばJ Husのような「しっとり・サラサラ・シリアス・ダーク」なタッチ。マイナーコードとエレピ系の静かな音色と捻りを加えた四つ打ちリズム。並べて聴くと間違いなく同じ人の曲である。もっとも、当時の編曲は河野圭で今の編曲はヒカル自身、そこになりくんのインプットが加わっている感じで体制の違いはあるけどね。

『タイム・リミット』に関してはもうあからさまにタイトルが共通している。『タイム』と『Time』。カタカナとアルファベットという違いはあれど、ヒカルの曲の曲名で同じ単語を二度以上使うとなると、“the”や"of"のようなものを除けば“you”や"love"など数える程しかない。そんな中での“被り”はある程度意図的だったとみるべきだろう。とはいえ、次の創作に入ったら前のことはキッパリ忘れるのもまたクリエイターなので、しばらく気づいていなかった可能性も捨て切れないのだが。

『誰にも言わない』に関しては、20年前の、そこから更に半年余り後にリリースされた『Can You Keep A Secret?』へのアンサーソングということになる訳だが、故に我々は今この『Addicted To You』から『FINAL DISTANCE』までの『Distance』時代に思いを馳せる事が多くなっている。折しも、もう二年前のリリースになるのだけれど、前作アルバム『初恋』がそのタイトルからして1stアルバム『First Love』のタイトルを踏まえてのものだった為、どうしても流れとして「20年ひとサイクル」みたいな感覚を覚えるようになっている。

何れもヒカルの発言を辿ると結局はそこまで意図していなかったというか、「まいっか」で済ませているだけのようにも思えるが、ヒカルと違って(笑)、過去の曲を日々聴き返す身からすれば、時間の流れが螺旋を描いている感覚を楽しめているというのは、別にそれが目的でやってきた訳じゃないのだけど「長くついてきてよかったなぁ」と素直に思う。過去と現在を螺旋の上下で接続してここからの未来を夢見ていられるだなんてこれまた贅沢極まりない。ヒカル本人にはその気は無かったかもしれないが、あれだけ多彩な才能と生活に困らない資産を持っている人が長く同じこと(音楽)をやり続けてくれているのは、感謝の極みしかないのでございますよ、えぇ。