無意識日記々

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ライブ体験の齎す真性の身体性

明日は『Beautiful World / Kiss & Cry』の発売記念日かー。13年になるのね。

でもホント、ライブで歌うってデカいよね。一昨年『Laughter In The Dark Tour 2018』で取り上げられた事でいきなり『Kiss & Cry』が眼前に飛び出してきてて“今”の曲になっている気がする。2018年11月7日にヒカルが最後独唱で締めた後の横浜アリーナで沸き起こった大喝采は今でも鮮烈に脳裏に焼き付いておるですよ。いやぁ、あれこそ「ライブ映え」ってやつですわ。インスタ映えの100万倍くらい強烈なヤツだ。

10年前の『WILD LIFE』での『Beautiful World』もそうだったのよ。これも歌の最後の最後、スタジオ・バージョンとはひと味違う『... It's only love.』で締め括った瞬間のカッコ良さときたら! あの時横浜アリーナ全体がシビレ悶えていた気がします。真冬に開催されたライブだったけどあの刹那のアリーナは常夏の光に満ち溢れていたかのようでな。

あの時の『Beautiful World』の威力は神がかっていた。何しろその前の2曲が『First Love』と『Flavor Of Life』という泣く子もまた咽び泣く感動の大バラード二連発で。このあとに登場するってそれ王と長嶋の後を打つ五番打者みたいなもので……って喩えが昭和だな。ゴジラキングギドラのあと?それはもっと昭和だな(笑)。兎に角、そんな出番は大体御免蒙りたい筈なのに『Beautiful World』はそこから会場を更にヒートアップさせたからね。ほんと名曲を数多持つ音楽家は凄いなぁと。寧ろ『WILD LIFE』のピークってここだったんじゃね?って思うくらいでよ。

といいつつも、それももう10年前の話。時間が経ったからというより、どちらかといえば『Laughter In The Dark Tour 2018』のインパクトが強過ぎてその印象が薄れているというか。強い光をもっと強い光で上書きされているような、そんな今の心境。なので、『Kiss & Cry』の方が若干生々しく響いてくるのかなと。

面白いもんだわこういうの。発売当時はやっぱりアニメとして『FREEDOM』より『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』の方が注目されていたし、曲の人気もそれに引っ張られていた。でも、そうか、あたしの中ではミュージック・ステーションでの生歌唱のイメージも作用してるのかもしれない。

当時、二週連続で出演して1週目に『Kiss & Cry』を歌って2週目に『Beautiful World』を歌うという贅沢極まりない段取りになっていたのだけれど、このとき歌った『Kiss & Cry』が本人も大いに認めるほど出来がよくなくてねー。そこからの捲土重来で『Beautiful World』の出来が頗るよかった(スタジオ・バージョンより凄かった!)という二曲の生放送歌唱のコントラストが大きくて、嗚呼ヒカルにとってはそういう感じなのかなという風に私の脳内に位置づけされていたのだわ。

それを一気に塗り替えたのが『Laughter In The Dark Tour 2018』でのパフォーマンスだった、のかもしれない。勿論、理屈では『Kiss & Cry』が素晴らしい楽曲であることはわかってはいたのだが、なにぶん、アレルギーじゃないけれど、身体が経験してしまった事実というのは結構揺るぎないものでな。生で体験する事でしかその揺るぎなさを揺るがす事は出来ないのよ。10年越しで(8年越しや11年越しでもあるけれど)ライブで体験することで、そういう「ライブコンサート体験のもたらす真性の身体性への影響」というものを痛感した、という話でありましたとさ。嗚呼、また私の脳幹を揺るがしてくれる体験が次に出来るのはいつの日になるのやら。(この締め方、あと何年定番として使い続けるんだろうか私は……)