無意識日記々

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我輩、宇多田ヒカルの尖った曲大好き侍でござる。

『初恋』は素晴らしいアルバムだが、無理矢理に過去と比較するなら「尖った曲」が足りなかったかなと。

「尖った曲」というのは、感性が鋭角的で、いうなればサウンドか歌詞か歌い方かの中に触れれば切れそうな感覚が潜んでるようなタイプの曲だ。まぁあれだ、あたしが初めて『Movin' on without you』を聴いた時に「なんて尖った感性なんだ!」と思ったからそう呼んでるだけなんだがね。

他にその系統に(自分の中で)分類しているのは『Addicted To You』とか『Wait & See 〜リスク〜』とか『Letters』とかそういうヤツですね。頂点に立つのは『Prisoner Of Love』。そゆ曲。

アルバム『初恋』の曲というのは、アップテンポであってもおおらかというかスケール感重視で、スリルとサスペンスという感じではなかった。先入観バリバリで言えば「いかにもお母さんになった人らしい」曲調が並んでいた。もっとこう、思春期のジャックナイフみたいな危なっかしさが炸裂するような曲はもう年齢とか育児とを考えると聴けなくなるのかなと思っていた。

そこに登場したのが『Time』だった訳ですよ、えぇ。昔のままではないけれど、なかなかにシャープなメロディーと刺激的な歌詞でとてもよかった。

「尖った曲」というのは必ずしもテンポが速い必要はなくってな。『Addicted To You』なんかもテンポ自体はミドルテンポというか決して速い曲ではないんだけれどサビのメロディーの切れ込み方がスリル満点なんですよ。ああいう感じが鋭角的、シャープだなぁと思うのだけど、『Time』にはその往年のシャープネスが幾らか復活したなと。

で。ふと思い直してみると、『Face My Fears』ってメロディー結構シャープじゃない? なのに、『Time』みたいな歓迎のされ方をしなかったのは、恐らく多分だけど、Skrillexならではのサウンド風味が強過ぎてそっちに印象が引っ張られてしまったからではないかなと。なので、もし『Face My Fears』が次のアルバムに収録される時に、例えば『Addicted To You』の『(UP-IN-HEAVEN MIX)』と『(UNDERWATER MIX』』みたいに対になるリミックス・ヴァージョンに生まれ変わっていたら面白いなと。で、その時によりシャープに鋭角的なサウンドに変わっていたら、これがなかなかフレッシュなアルバムになるんじゃないかなと。『Time』もあるんだしね。

『初恋』の優美で雄大サウンドも勿論素晴らしかったが、こちらの緩んで油断した心に鋭く切り込んでくるようなメロディーと歌詞を繰り出してくるのもまた宇多田ヒカルの真骨頂で。コロナがどうとかで鬱屈が溜まっているリスナー達の溜飲を下げるような曲調が増えてたりすると、なかなかいいんじゃないかと思いますのでした。シンエヴァの主題歌とか、どんな曲調なんだろうねぇ? これもアルバムに入るんだろうからな……どうなることやら。