無意識日記々

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渋くて知的なチョイスです

鈍足にもめげずに(?)いくぞ。『22 by Hikaru Utada』、4曲目は『サングラス』だ。

前回触れた通り、これは選ぶと思っていた。これと『ドラマ』は、シングルカットは出来ないけれど非常に独自性が強く、いわば作った方が拘りたいタイプの楽曲だからだ。(寧ろ何故『ドラマ』を選ばなかった…)

しかし、『Distance』アルバムからこれ1曲とは驚いた。一応、広い意味での『Distance』セッションということでなら『Fly Me To The Moon (in other words)』と『Addicted To You [UNDERWATER MIX]』も入るんだけど、アルバム本編からはこの1曲だけだ。収録曲のシングル売上合計、多分500万枚超えると思うんだけど、それらの代表曲、超特大ヒット曲たち(年間1位まであるんだぜ)を差し置いてこれというのが、なんともヒカルらしい。

思うに、こんなに『太陽』を前面に押し出した歌も他にないからではないかな。英語で書くと“sun-glasses”だ。こんなに真正面から“sun”が入っているタイトルも珍しい。

ヒカルの歌詞で太陽が出てくるとまずお母さんの事だと解釈してみるのがセオリーだ。デビュー曲の『time will tellからして雨が降っても雲の上まで行けば太陽に会えるよという歌だし、そこから20年経っても『大空で抱きしめて』で雲の中を飛んでいって愛する人に会っている。モチーフとして揺るぎないのだ。

そんな太陽の、お母さんの「眩しさ」を表現するのに『サングラス』というテーマは本当にストレートにわかりやすい。そのまま目にすると眩し過ぎて正視できないからつけるのがサングラス。これをつけてやっと、太陽をみれる。お母さんのことをみれるのだ。結構嬉しいアイテムなのである。

今のヒカルにサングラスは必要なのか。なかなかに難しい問いだな。それこそ『大空で抱きしめて』や『道』で、お母さんは星になってしまった。元々太陽だって恒星で、つまり星なので、遠くの銀河からみれば星屑のひとつでしかないのだけれど、こうやって青空を従えて光り輝く太陽は、やっぱり唯一無二の存在で。『サングラス』を聴く度にヒカルは、お母さんがステージで歌う姿のまばゆさを思い出しているのかもしれない。

てか、この『サングラス』、藤圭子が歌ったらどんなテイクになっていたかな、とかも考える。すっごい渋味のあるテイクが出来上がってたんじゃないかな。そんな想像もはたらかせてまうヒカルの渋い選曲でしたとさ。