無意識日記々

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(0,0)∠meet me in the …

『22 by Hikaru Utada』の8曲目は『Hotel Lobby』だ。『EXODUS』からはこの1曲のみ。いやそれどころかUtada名義の曲がこれだけだ。『This Is The One』からは1曲も選ばれなかった…だと……? いや少なくとも『Apple And Cinnamon』だけは選んで欲しかったんだけど(単に私が好きだからですが)、まぁ22曲の制約があるから仕方がないか。

気を取り直してその『Hotel Lobby』だ。この選出も、ヒカルの発言を追っている人からすれば妥当だろう。昔っからこのアルバムで選ぶならこれだったし。そうだそうだ、『SMAP×SMAP』に出演した際に稲垣さんちの吾郎ちゃんとこの曲が好きだと盛り上がっていたっけか。テレビを観てた人なら印象深いかもしれないな。

ヒカルのこの曲のお気に入り度は相当なもんで、後に『Kiss & Cry』でこの曲のメロディをほぼそのまま引用している。そしてその『Kiss & Cry』もまたこの『22 by Hikaru Utada』に選出されている。どんだけ好きなんやっちゅー話でな。片方だけでもよかったろうに。

この曲を一言で言えば「中庸」だ。明るいだけでも暗いだけでもない、シリアスなだけでもファニーなだけでもない、センス・オブ・ユーモアがありウィットがあり、しかし小難しくなくわかりやすいPop Songとして洗練された出来栄えとなっている。サウンドも結構凝ってるのにサラリと聴きやすい。メロディと歌詞の組み合わせ方もユニークなバランスだ。ある意味どこも突出部していない。『EXODUS』収録楽曲をスペクトル配置したとき(バカパク/バカ渋/インパク知/渋知、みたいなやつを想像してくれ)、ちょうど真ん中の(0,0)にくるのがこの『Hotel Lobby』なのだ。アルバムを全部作った人ならではの選出といえるだろう。

この曲が好きなファンの人って、要するに要点を把握するのが上手なんだと思う。つまりヒカルちゃんが言いたかったのはこういうことでしょ、というのをすぐに見抜けるというかね。吾郎ちゃんにもそういうとこあったのかもね。

でもこの曲、そこまでヒカルに気に入られているのにツアーで演奏されてないのよね。唯一度、2005年2月23日のニューヨーク・ショウケース・ギグで演奏されてる筈なんだけど、公式映像がないライブなので何とも勿体無い。妹分である(?)『Kiss & Cry』が発表から11年目にして初めてライブで初披露されてあれだけの喝采を浴びたのだから、いつの日か『Hotel Lobby』にもそんな機会が訪れてくれたらなぁと願わずにはいられない。でも実際ライブで歌ったら、如何にも中庸な曲調に相応しく、盛り上がり過ぎず盛り上がらなくもない程度の受け容れられ方をしそうでは、あるのよね。そこらへんも含めて、とても愛すべき楽曲なのでありますよっと。