無意識日記々

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ナイルパーチの女子会

週末にTwitterでFFさんが(ってHironだけども)BSテレ東の1時間枠ドラマ「ナイルパーチの女子会」というのを紹介していたので自分も気軽に観てみたらこれが大当たり。というか、自分が1時間枠ドラマを途中中断せずに観るのがまず珍しい。よくもまぁこんな低予算そうな枠にこんな作品が。GYAO!で無料無登録配信してたから観れたんだけども。

ストーリーは女子会の名の通り、Webを通じた女子たちのドロドロを描く内容のようだが、まずパッと見の画面が美しい。どのカットも狙いが正確で美麗だ。人物同時と人間関係を象徴させる構図のとり方や表情を引き立てるアングル配分など随分と計算されてるなと感じた。色合いも含めて、非常に映画的な画面作りをしている。

ややもするとこういった計算され尽くした画面構成に於いては登場人物がジオラマに配された人形のようにみえてきてリアリティが薄れてしまうものなのだけど、この真ん中に配された「おひょうさん(丸尾翔子)」役の女優さんのお芝居がこれ図抜けて素晴らしいくてもう。山田真歩さんて方なの?2014年の「花子とアン」とか結構有名な作品に出てた方らしいのだが普段映画やドラマををチェックしていないので全く存じ上げず。勿体無い。

顔の表情だけでなく全身でお芝居ができる人で、切り取られた人工的な画角の中でも人間としてのリアリティ、生々しさを失わないのが凄い。決して美人さんではないのだが(ホント失礼だなお前)、艶めかしさすら感じさせる怪演いやさ名演だ。こういう人いるよねとかそんな感じになることあるよねと容易に視聴者の共感を呼ぶ“人間”に則ったこういうお芝居が出来る人はそうは居らんよ。この人の演技を観るためだけでも継続視聴決定だな。

っと、ここまで考えて、なるほど、これって「小津映画と杉村春子の関係性」と相似なんだなと気がつく。まさにそのまんまだわな。いやそりゃあそこまでの芸術的な域に達してるとは言わないけどね。このドラマのプロデューサーさんにしろ監督さんにしろ役者さんにしろ、半世紀以上前の小津や杉村を知ってるとは思えないのだが、「映画は小津だけ観てればいいや」とか考えてしまってる枯れきった自分をここまで感心させたのは、なんか凄いわ(笑)。BSテレ東のドラマ枠って比較的自由に制作できるんかな。地上波じゃない分。だって、こんな作風が売れるとは思えないからねぇ。いや勿論ストーリーや脚本は令和ならではというか、スマートフォンやZoom会議、リモート勤務なんかをフィーチャーした現代的な設定なんだけどね。

自分もなかなかこういう作品に巡り会えないから段々自然にテレビを観なくなっていってたんだと思うけど、いやぁ、侮れないもんだね。山田真歩さん、他の作品も見てみたいな。そうだな、杉村春子を尊敬しすぎて卒論のテーマにまでしたという井上真央との共演が1度見てみたいわ。もう実現してたりするんだろうか? 真歩真央コンビで10作くらい作ってくれんかねぇ。