無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

Before PINK BLOOD Bleeding

不滅のあなたへ」は第5巻まで読了。相変わらず他に似ぬ世界を展開している。主人公フシのキャラクター設定アイデアが秀逸なので、あとはそれを如何に活かしていくかにかかっているという印象。作者の力量では追いつかない内容に発展していくおそれもある。

だが、昨今はそれを「アニメ化」で克服するという流れがみられる。古くは「進撃の巨人」、最近では「鬼滅の刃」が「話は面白いが漫画家の画力が追いついていない」と評される中圧倒的な映像の説得力で広範な支持を得た。「不滅のあなたへ」にも同じような可能性がありそうだ。

前にこの作品は手塚治虫の「火の鳥」に通じるものがあると評したが、もうひとつ類推する作品の名前を加えておきたい。宮崎駿の「風の谷のナウシカ」だ。漫画版の方ね。

漫画版「風の谷のナウシカ」は宮崎駿自身のペンによるものだ。面白いことに、日本一のアニメーターであった宮崎駿も、漫画の描写は上手くない。絵は当然しっかりしているのだが、漫画ならではの文法や技法にはそこまで秀でていなかったのだ。あれだけアニメーターとして絵に魂と動きを込められる人が、漫画となると特にアクションシーンはからっきしで、場面の見せ方も拙かった。しかし、これがアニメーション映画となると皆さんもご存知の通り……ってもう36年前の作品か。読者の皆さんも観ているとは限らんわな。いや、寧ろ年月を経て観る機会を得た人が増えてる可能性もあるのか。いずれにせよ、映像になると伝説的と言われるレベルに到達する。久石譲の音楽の力も大きかった。

不滅のあなたへ」も、同じようにアニメーションになった途端に化ける可能性がある。話は面白いのだからそこがどう転ぶかで話題性が決まっていくだろう。とはいえ、それでも第一話の始まり方は地味極まりないので、どれだけの視聴者がついてきてくれるかはわからないが。

ヒカルの『PINK BLOOD』は、その原作の印象だけではなく、アニメ化された時の躍動感まで視野に入っているかどうかがポイントとなるだろう。原作を読んだだけだと、とてもじゃないが快活なアップテンポチューンは合いそうにないが、アニメーションだとわからない。このあと正午に一部音源解禁ではあるから、そこで何がどうなっているかは幾らか推察できるかもしれない。

ただ、今までの流れからすると、堂々と「あんまり多数にウケない」曲を書いてきている可能性も高い。つい昨年も、年間Top40に入るようなスマッシュヒット作『Time』をリリースした後にてんで話題にならなかった最高傑作『誰にも言わない』を堂々とリリースした。今年も、大衆から大絶賛を浴びている『One Last Kiss』の次に箸にも棒にもかからない『PINK BLOOD』がリリースされる、という流れになっているのかもしれない。アルバムリリース前にはきっともう一曲キャッチーなナンバーを先行配信するから大丈夫、という横綱相撲感。最近大相撲全然観てないや。

あと、タイトルがまるで作品とリンクしないのは、もしかしたら先に作りかけていた楽曲を「世界観が合うから」と「不滅のあなたへ」の主題歌として採用した、という流れがあったのではとも考えられる。ヒカル最大のヒット曲である『Flavor Of Life』だって作りかけていた楽曲から生まれたものだというのだからこのセンもなくはないだろう。いずれにせよこのあともう三時間余りで答えの一部は開示されるのだ。以後はそれを聴いて踏まえた上で妄想を逞しくしていこうかなと思うぜよ。