無意識日記々

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すかさずさ

で今度は『PINK BLOOD』のヴィジュアル面の話。ヒカルが自ら紹介していた通り、早くもアー写が一新されてティザー映像“6秒て”もアップロードされた。これがまぁどちらも鮮烈でねぇ。

新しいアー写の公開のタイミングが、前回&前々回触れた『キレイなものはキレイ』の“形而上学的パート”が初公開された直後だったのは偶然ではないだろう。宇宙人に連れ去られる人だか宇宙に連れ去っていく人だかを連想させるその佇まいは確かに浮世離れした美しさを感じさせる。なんてことなくもないルーブル美術館の女神ニケ像を彷彿とさせると語っていた人もいたがさもありなん。女神様って感じよね。

一方ティザー映像の方は、こちらは「ミレーのオフィーリアを思い起こさせる」という人がいた。なるほど、戯曲「ハムレット」で悲劇の溺死を遂げるヒロインをモチーフになぁ。オフィーリアのこの絵はつとに有名で、昔から土左衛門のパロディに「オフィーリア!」と呼び掛けるのは鉄板のツッコミだった。数年前に樹木希林がそれを大真面目にやってたんだって?  知らんかったよ。彼女のセンスならわかるわ。

で今回Wikipedia読んで初めて知ったのだがミレーのオフィーリアは、あれ、溺死の場面じゃなくてその直前、水面で歌うシーンなんだってね。そいつはシェイクスピアだって驚きの展開だわ。いや書いた本人は驚きやしないか。ともあれ、「歌と死」というこの絵画のテーマは「不滅のあなたへ」の不死なフシへのテーマソングを書いた歌手としてはうってつけのモチーフだろう。構図といい色合いといい意識しているのは間違いなさそう。こちらはアー写とは対照的に、ビビッドで動植物と人間の生々しい生命力を感じさせる一瞬となっている。しかし6秒て。(しつこい)

ヒカルは、歌の中の形而上と形而下の対比を、ヴィジュアル面でも即座にアピールしてきた訳だ。放送前からのツイートといい放送後のすかさずさといい、しっかり計画して発表してきたのだろうな。我々が30秒や90秒でどんな感想をもちどんな妄想をはたらかせるかまで予想してプロモーションをしてきている。この流れだと、フルコーラスの『PINK BLOOD』はヴィジュアル面でもフルならではの魅力を追加してきてくれるのかもしれない。ワクチン接種で急速に開かれ始めた英国からどんな表現が新たに渡航してくるのか、楽しみに待ちたいと思います。