無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

ここからもっと感動させるぞぃ

不滅のあなたへ」がdアニメストア2021年春クール「今期で一番感動したアニメ」部門で第一位を獲得したそうな。おめでとうございます。

確かに、今クールで他に感動系に当て嵌る作品無さそうだもんね。シリアスでテーマがキッチリしてて、ギャグに走らない。微笑ましいシーンは沢山あるのだけど。妥当な選出…ってファン投票に妥当も不当もないわな。あたしから見えてる範囲では納得の、というところでしょうか。

宇多田ヒカルという存在はもともとJ-popをシリアスにするデビューをした音楽家だ。当時『Automatic』の大ブレイクの直前に特大ヒットしていたのがかの『だんご三兄弟』だった。みるからにとぼけたふざけた作風で、その脱力感が多くの人々にウケたのだが、それが流行歌に対する評価だった。一応童謡扱いに近い1975年の「およげ!たいやきくん」が20年以上も大ヒットの代名詞だったとか、そういうこともあって、どこか歌に対してシリアスなプロフェッショナリズムをそのまま出していく事に違和感があったのが国民性と認知されていたというか。

ヒカルはそこに「誠実さ」を持ち込んだ。それは実存的な苦悩を真正面から受け止める歌詞の世界観でもあり、音楽制作という場面における妥協の無さでもあり。どちらのレイヤーでもその「真剣さ」が、それまでになかった大ヒットに繋がったのが特異だった。まぁ80年代が浮つき過ぎてたと言われたらそれまでなんですが。

漫画業界やアニメの世界ではそういったシリアスさは常に一定の居場所を与えられてきたように思う。そんな土壌だったから例えば「新世紀エヴァンゲリオン」は伝統的な純文学のテーマを持ち込んできて一部に熱狂的な支持者を得たり出来てた。

不滅のあなたへ」も、そういったシリアスの系統のうちの一作品で、そのタイアップがヒカルに回ってきたのも必然というか自然というか。肌に合っていたということだろう。

故に、『PINK BLOOD』に関しては、エヴァシリーズほどまではいかないにしても、昔からの実写ドラマたちとのタイアップとは一線を画して漫画&アニメとの親和性、コラボ率の高さというものが際立っているように思える。それは双方からのアプローチ両方にみられ、ヒカルの方も随分漫画を意識した作詞をしたし、OPアニメを見てもやはり制作陣は主題歌に対して最大級のリスペクトをもって仕事に当たっている。事前に予想していた以上に両者の関係は、人間同士としてはともかく作品同士としては、かなり親しく近しい間柄となっているように思われる。

そして、そこに更に『PINK BLOOD』のミュージック・ビデオが加わってきた。監督は谷川英司氏。彼による作品に関するインタビューもあがってきているが、これがまたいやはや…なかなか興味深い関係性が出来上がっているようで。そこらへんの話からまた次回。

…「また次回」といったまんま放り出してる話の続きが沢山あるな…ぼちぼち回収していかんとね…。