どうにも今回の新しいタイアップは勝手が違う。理由は単純で、タイアップ先のお目当てがヒカルの音楽ではなく知名度だからだ。
その為か、折角の新曲『Find Love』の扱いがぞんざいな気がしてならない。資生堂の新商品(というわけでもないのかな)を見に来た人が「おや、歌もええやんけ」となる姿が想像しづらい。
それもこれも、ヒカルが美しいのがいけない。抜群の知名度に加えてその美貌。新曲関係無しに、化粧品のCMにアピアランスをメインとして起用されたと言われてもまぁ納得してしまうよね。隣のウルスラさんがラテン系(でも所謂日本人に好かれそうなあっさりさん)なのでヒカルのアジアン・ビューティぶりが際立つ。『EXODUS』で海を渡った時に向こうでアジアンだジャパニーズだと言われたのを思い出して若干ほろ苦くもなったけど。
そんななので、何よりもまず「新曲ぅぅぅ〜♪」と思っていたこっちからすると何となく肩身が狭いというかね。EPICというかRIAのアクションもいつもに較べて何だか熱が入っていないようで。これは『Find Love』に力を入れていないというよりは、まず資生堂主導のキャンペーンがあるからそちらを尊重して、ということなのだろうかな。
知名度をアテにされるのは仕方が無いとしても、しかし、やっぱりこちらがモゾモゾしてしまうのもまた仕方が無いのですよ、えぇ。
最近のタイアップは押し並べて「音楽家・宇多田ヒカル」に対するリスペクトが高く、演出面でそれが如実に現れていたんです。
「不滅のあなたへ」でのOPアニメと『PINK BLOOD』のシンクロぶりはアニメーターの皆さんの尊敬と矜恃を感じさせたし、エヴァと『One Last Kiss』などは蜜月も超えて同化の域。『誰にも言わない』は詩の朗読を併用するという作品としての異なる側面を呈示したし、「美食探偵」での『Time』の歌詞の構成を睨んだ毎回の小出しぶり(笑)も心憎かった。キンハからの感謝は『Face My Fears』のアートワークにも現れていたし、『嫉妬されるべき人生』なんてアルバム曲をわざわざご指名してきて…と、どこまでも宇多田ヒカルの音楽を尊重する姿勢を誰も彼もが隠さなかった。
今のところ、でしかないが、『Find Love』は「ただCM映像の後ろで流されているだけ」である。化粧品のCMは元来そういうものなのかもしれないが、ハッキリ言って物足りない。知名度や美貌にばかり関心が行き普段のアーティストとしてのアティテュードや思想についての発言を軽んじているからああいう字幕が通る事になったんじゃないのと嫌味のひとつも言いたくなるわ。
まぁそれはそれ、これはこれ。『Find Love』がライブコンサートで盛り上がる曲になる未来はもう間違いがないので、私はそこに照準を合わせていこうかなと思う。なんだかんだで化粧品からは最も縁遠い人種ですしね…(本音はそこかいな?)。という訳でとっととフル解禁してください。(直球の要求ですね!)