無意識日記々

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Find UTADA in Find Love

少数派の感想なのかもしれないが、私としては『Find Love』であのUTADAっぽいメロディが戻ってきたのが妙に嬉しい。『FYI』とか『This One』のような音の運び方飛び方よな。懐かしさと新しさの同居よ。

『光』と『Simple And Clean』の頃(あらもう20年近く前だわ)から明らかなように、ヒカルは日本語でも英語でもその歌詞に合わせたメロディを設える。よって『Find Love』がUTADAっぽいのはUTADAが全英語歌詞だった(『コンニチワサヨナラ』とか『オムマニパドメフム』とかありましたけども)事を考えれば当然のことで…とも言い切れない感じがちょっと予感されてるのよね今。

というのも、全編英語歌詞ってそこまで極端に久々ではなく、2018〜2019年リリースの『Don't Think Twice』と『Face My Fears (English Version)』の2曲もそうだった訳で。で、なんだかそれとも違う感じがしててな。

単なる予想だが、今回、ヒカルは「四面楚歌」をある程度想定してこのプロジェクトに参加したんではないかなと。『Don't Think Twice』と『Face My Fears』はキングダムハーツシリーズへの提供曲で、謂わば宇多田ヒカルという存在は元から大歓迎というか寧ろヒカルでなかったら怒られるレベルで名声を確立していた訳で。勿論そこに楽曲提供する際のデカい期待値から来るハードルの高さは大変なプレッシャーだろうが、基本的には待ち望まれているのに変わりはない。

今回のタイアップは、普段とはまるで畑違いだ。これまで名声を確立してきた業界が相手ではない。いわば他流試合、異種格闘技戦の様相を呈している(これ伊藤政則の言い回しだな…)。四面楚歌とはその点を指して言っている。これまでの実績でどうのというのが通用しない世界。とはいえ既にピンナップスター(昭和な用語だなそれ!)としての能力の高さは証明されたようなものだが、これから実際に商品を手に取った人達が作り上げていくイメージと宇多田ヒカルのイメージが乖離していかないかが重要になるんだろう。(知らない業界だからわからないんだ) やっぱりいつもと勝手が違うように思う。

そこが、UTADAの時とシンクロするんだよね。特に歓迎されていない地域にプロモーションしに行くあの感じが。いや勿論ダイ・ハードな現地ファンの皆さんの熱狂的歓待とかあったけどね。それはやっぱり局地的な話であって、ヒカルの心づもりとしては、異国の地で頑張りますというフィーリングが強かったのだ。

それは2004年の『EXODUS』の歌詞にも、2009年の『This Is The One』にも現れていた。『Automatic Part II』に代表されるような「自己紹介ソング」及び「初めましてのご挨拶ソング」が何曲もあった。そんな中で、その歌詞に伴ってメロディも「切り込んでいく」フィーリングを押し出していたように感じられる。

今、『Find Love』を、資生堂のグローバルアンバサダーとして、今迄と異なる業界や、初めましての国などにアピールしていく中で、あの頃のUTADAの挑戦者魂が戻ってきたとしてもそれは結構自然な気がする。それと共に、あの頃と違って、そんな中でさて「私」はどうするのかという点で、恐らく歌詞の世界観がまるで異なっている筈だ。UTADA時代はセイハロー的だったり、波風立てずにそ〜っとだったり、異文化異人種の違いを意識していたりというコンセプトがみられたが、『My Relationship With Myself』を標榜する今のヒカルがどんな歌詞を『Find Love』に与えてるのかその点が一刻も早く知りたいところ…という訳で公式はフル解禁早よ。(あと何回ソレ言う気だ貴様(笑))