無意識日記々

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君の低音に夢中

さて『君に夢中』の大きな特徴である豊かな低音部について語りたいのだがまぁほんとその凝ってる事といったら。どこからどう語るか悩ましい。嬉しい悲鳴。

そもそも、最初聴いた時この曲もまた小袋成彬との共作なのかなと思ったのは、この低音部があったからだったのだ。実際は彼の名前はプロデューサーとしてもクレジットされておらず、『One Last Kiss』と同じくA.G.クックが共同プロデューサーとしてクレジットされている。だが、まだ確定かはわからないが、作編曲が宇多田ヒカル単独っぽいところがポイントだ。

もしそうだとすればこれはかなり驚くべきことなのだ。『君に夢中』と同じくらいベースラインが印象的な楽曲として『桜流し』が挙げられるだろうが、あれはポール・カーターとの共作曲だった。YouTubeには彼による『桜流し』のインスト・ヴァージョンがアップされているが、その弾き方からしてもあのベースラインは彼のアイデアだったのではと思わせる。ヒカルは、ベースをメロディアスにする事には興味が無いのではとずっと思っていたのだ私は。

しかし『君に夢中』のベースラインの滑らかに動くことといったら。いやホント新機軸というか新境地というか。デビュー23年にしてここまで新しいタイプの曲を書く大御所ってのはそうはいねーぞ。

“ベースライン”と言ってもこの曲の場合大雑把に分けて3種類あるから凄い。

まず1つめはいつもの打楽器の補助としてのベースだ。アタック音に音程を当てる、いつもの宇多田ヒカルのベースの使い方がこの曲でも現れている。

2つめは、『Hotel Lobby』でも使われていたフレットレスベース風に連続的な音程の変化を持つ、恐らく何某かの民族楽器をサンプリングしたベースラインだ。すまぬ、楽器の名前がわからない。打楽器なのかな? これが鳴り響いてるとどこかトライバルだったりトロピカルだったりな雰囲気になるのでワールド・ミュージック御用達の楽器なのだろうと思う。ここでは取り敢えず便宜的にフレットレスベースと呼んでおく。

そして3つめが、皆の耳目を引いたであろう、ピアノの低音部から展開していくシンセベースのメロディアスなラインだ。前者2つは今までの宇多田ヒカルUtaDAサウンドから予想できるベースの使い方だったが、これは全く予想の範疇外だった。その上、4分余りの曲の癖にこのシンセベースが複数の音色をもって目まぐるしくその色合いを変えていくのだから質が悪い(笑)。いやこれ目を白黒させましたよ最初聴いた際は。

以上この3つの役割の異なる低音部が『君に夢中』を下から支えている。これらについて細かく見ていきたいのだが…もうあと2回で詳細発表かー。まぁ、なんとなくの流れで!