無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

なんかもうエヴァっぽい暑さだねここ数日は

暑いねぇ。まだ6月なのにこちらの今日の最高気温は35℃予想だと。真夏日通り越して猛暑日かいな。こんな時の月曜日の朝から歌詞の話して難しい顔してるのも私がキツいのでのんびり思い出話など。

とはいってもこの日記、「その時のこと」が後から幾らでも読めるので、同じ事を繰り返し書く気はあんまりしない。文章の導入で「以前言ったことを踏まえる」ってことはかなりあるけどねぇ。それも読みやすさの為だしね。ただでさえ普段から読みづらい文体なのだし。

13年前、2009年の今日は「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」の公開日で同時に『Beautiful World -PLANiTb Acoustica Mix-』のリリース日だった。2007年「序」の時は何ヶ月も前から主題歌『Breautiful World』が宣伝されていて満を持しての映画公開だったが、この「破」の時は長らく主題歌情報はなく、公開直前に主題歌は宇多田ヒカルと公表されて、更に曲名が明かされたのは公開当日だった。

2009年上半期といえば、ヒカルがUTADA名義で『This Is The One』を、宇多田ヒカル名義で『点』『線』をほぼ同時リリースする中で5月に扁桃腺腫らして倒れちゃったあの時期になる。当然、映画に新曲提供は無理だろうというのが大方の見方だったのだが、結局はリミックスということに落ち着いた。そこらへんの経緯は当時の無意識日記を読めばわかる。

その当時戸惑ったのは、このリミックス『Beautiful World -PLANiTb Acoustica Mix-』に対する高い評価だった。こちらとしては、いつもお馴染みラッセル・マクナマラによる“PLANiTb Mix”が、いつものクラブミックスなアップテンポではないアコースティック・ロック・テイストになっているのが新鮮だったのだが、アニメの主題歌、エンディング・テーマとして受け取った層は「寧ろ序のより良い」くらいの頗る好意的な受け止め方だった。「なんだ新曲じゃないのかよ」という声はごく僅かで、大半が絶賛だった。リミックスかぁ、みたいなテンションだったリスナーとの落差が凄かったな。

そうなるのもわかる。映画『破』のエンディングで齎される「これから一体どうなるんだ!?」という動揺と期待を、そのままアコースティック・ギターによるイントロダクションが引き取ってくれたのだから。

ここらへんは、もうヒカルの掌中ではなかった。シンエヴァでは『One Last Kiss』のエンディングでの切り込み方に甚く拘ったヒカルだが、「破」の時はノータッチだった筈なのだ。それがこういう評価に繋がったのは、庵野総監督をはじめとしたエヴァンゲリオンのスタッフの皆さんのセンスの賜物ということか。

裏を返せば、それは如何に映画にフィットしていたか、という観点からの評価であって、楽曲単体の評価ではない。でないと、新作続編映画の主題歌がリミックスという名の「焼き直し」であったことへの不平不満の少なさは説明しづらい。

そのあと「Q」では『桜流し』が、「:||」では『One Last Kiss』が提供されて伝説化するのだが、はてさて、今年の『One Last Kiss』に対する評価はどこまで“真に受けて”いいものやら、なかなか難しいとこだ。そんなことで悩まなくても多分未来永劫名曲の地位は揺るぎないのだが、見誤ると色々と危うい。アニメファンに宇多田ヒカルは受け入れられて最早地位は盤石、と喜んでいても次に提供する曲が作品と合ってないとなると叩かれかねない。それがいくらいちリスナーとして聴いた時に大名曲であったとしても。例えば古くはテレビアニメ「るろうに剣心」主題歌に起用されたJUDY AND MARYの「そばかす」がアニメに全く寄り添わずにミリオンセラーになったことなんてのもあったが最早そんなの平成初期の昔話だ。今のアニメファンは配信環境で目も耳も肥えている。J-popとの市場のサイズ感も逆転しているし、今後のタイアップはより一層評価が厳しくなるだろう。

差し当たって、「不滅のあなたへ」第2期の主題歌を担当するかどうか、するとしたらどんな曲か、そこらへんが目に見える指標になるのかな。『BADモード』で邦楽側のメディアや同業者たちからのリスペクトをここにきて大幅増量したヒカルも、畑が違えばそんな御威光は通用しない。でも、そういう場で仕事があるってありがたいわね。外からウォッチしてるだけの身からすればスリリングで実にいいのですw