無意識日記々

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公共放送、歌詞に瑕疵なし。

で懸案だった「ライブ・エール」での『BADモード』のラスト部分

『Hope I don't fuck it up

 Hope I don't fuck it up again』

の歌詞だが、NHKは「そこまで出してた字幕を引っ込める」という手で収めた。妥当なところかな。

NHKってのは内規のような基準みたいなものがあるらしく、ニュースでも商品名や企業名を字幕で出すのはNGだが、画面に看板やロゴマークが映像として映り込むのはいいらしい。なのでアナウンサーは「大手レコード会社」と口では言っているのに画面にはEPICSONYの看板が踊ってたりする。まぁGAFAとかマクドナルドくらいのデカすぎる企業になれば遠慮なく名前を出してるし、自動車のリコールのニュースなどになれば当然この限りではないのですが。

それに最近はそういった内規のようなものも緩やかになっているようで、従って

『メール無視してネトフリでも観て

パジャマのままで

 ウーバーイーツでなんか頼んで』

もそのままで歌えてたし字幕もきっちり表示されていた。その一方で"fuck"を字幕に出すのはマズかった、というのが、今のNHKの内規のようなものの様子が窺い知れて大変宜しかったですね。『BADモード』はアウトとセーフが混在する格好の検分材料だった訳だ。

となると、本来ならいちばんマズいはずの

『Or we can roll one up』

が歌も字幕も無問題だったのが引っ掛かるのだが、これはそもそも「巻くヤツ」というだけの言い方なので、「これは葉巻タバコのことですから!」と言い張れば大丈夫という判断なのかもしれない。言い張るというか、実際そう使うようだし。というか、海の向こうのそれなりの所では葉巻も葉っぱも隣り合わせでそんなに区別してないんでしょーね。日本は取締法があるからそこが違うんでしょう。

それに、これくらいの述語になってくると、歌詞として歌われて一瞬字幕に出る程度で意味を把握できる日本語圏民は1%にも満たない。更にそこからコレにクレームを入れてくる人間となれば皆無に等しい。それよりNHKとしては目の前の宇多田ヒカルに余計なことを言って出演が御破算になればそっちの方がずっと大事(おおごと)である。宇多田さんは過去に「"ゼンセ"でダメだったらみんなのうたは諦めてた」と言った人なのだ。譲らないところは譲らないよ? 流石に件の放送事故ほどではないけれど、大物歌手が「今後NHK出ません」と言い始める切っ掛けを作った職員なり社員なりは、今後の身の振り方を考えなければならなくなるからね。そりゃ最大限譲歩しますってよ。

ということで、最後の字幕を消される程度で済んだ訳です。アウトロの英語の部分は、他の曲であっても元々歌詞の表示をしたりしなかったりなので見ていて違和感もなく、対外的には何の瑕疵ももたらさなかったと言っていいでしょう。

ちょいと笑ったのは、ヒカルがその『Hope I don't fuck it up...』を歌う時にやたら気合いが入っていたこと。もう4小節足してたら藤圭子ばりの小節(こぶし)回しが聴けていたのではないかと言いたくなるくらいで。字幕のことを知っていたのか知らなかったのかはわからないけれど、こちらからしたらまるでアテツケみたいに映って笑ってしまったのでした。単なるキレイで優しいお姉さんに留まらないところを最後の最後でみせてくれたのは「パイセンらしさ」が出た感じだったわねぇ。いやはや楽しいパフォーマンスでしたさ。