無意識日記々

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いちばん欲しいヤツがない!

で話を戻すと。冷静に『First Love/初恋』関連のリリースを読み直すと、私がいちばん欲しがるであろうトラックの配信予定が見当たらないことに気づく。それは、

『初恋』アカペラの空間オーディオがない!

という事に尽きる。

だってそうでしょ。Appleが主導する空間オーディオの規格ドルビー・アトモス。その真骨頂は左右だけでなく前後上下からも音が降り注ぐサウンドにあるわけで。

『初恋』の壮大なバックコーラスに全身包まれてみたい!

と思うのは人情ってもんでしょう。寧ろ今回それをいちばんにやるべきだった。

コーラスというのは扱いが難しい。渾然一体となって新しい音が生まれるからこそ尊いという場合と、多くの異なる歌声がいちどきに聞こえてくるのが醍醐味だという場合と、どちらも有り得る。それは楽曲次第であってどちらが優れているかどうかよりは相性の問題だ。

ヒカルの『初恋』のバックコーラスは非常に分厚いが、御存知の通り宇多田ヒカルは他人の声を極力スタジオバージョンに持ち込まない。徹底的に自らの歌声を重ねに重ねて音を作る。そこが、例えば聖歌隊のようなコーラスとは全く異なる性質を形作る。

ドルビーアトモスで前後左右上下から歌声が届くとして、ヒカルのトラックの場合は総てがヒカルの歌声だ。ある意味、ヒカルが分身の術をつかって8人とか16人とか48人に増殖して歌ってくれることになる。それを楽園ととるか地獄絵図ととるかはそれぞれだろうが(笑)、特に同じ音程を同時に歌ったときに歌声がダブついてコーラスの甲斐が無くなってしまうおそれがあるのよね。ぷよぷよ方式っすね。同じモノが隣り合うと消し去り合っちゃう。

そこらへんをうまくクリアして作られた『初恋』のアカペラのドルビーアトモス版、表記すると

『初恋 - a cappella mix 2022 - (Dolby Atmos Version)』

という風になるだろうか。随分長いな!─このトラックが実現すれば、それはそれは凄まじいインパクトを残すことになるかと思われる。それだけにリリースの予定が無いのは残念でならない。

しかし、オリジナル・バージョンの『初恋』の方はきっちりリリースされるのだ。これに期待が出来ない訳がない。世界に自分とヒカルの二人だけ、っていうアカペラミックスみたいなのにはならないだろうとはいえ、こちらもミックスが決まればとんでもなく壮大荘厳壮麗な出来栄えとなるだろう。こちらは『First Love (2022 Mix)』と違って新しいミックスではなく、2トラック版とドルビーアトモス版のそれぞれの規格に合わせて新たにマスタリングを施したものだから音源(使われたテイク)自体は2018年のアルバム収録のと同じものになるのだが、それだけにドルビーアトモスの威力の程が伝わりやすいだろう。比較が容易だからね。

まぁでも、幾らミックスやマスタリングを工夫したって目の前でマイク1本ぶっ立てて生歌唱する宇多田ヒカルに敵うわけもないので(身も蓋もねーな相変わらず)、12月9日には新しいライブの情報が出てくれないかなと最高潮に贅沢な事を考えるのでした。まる。だって次は25周年、クォーターセンチュリー年間が控えてるからねぇ。いやまだデビュー24周年だけどね今年はね。