無意識日記々

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隠れがちな月の歌

今宵は皆既月食天王星食が同時に起こるという珍しい夜で。日本では442年振りだそうな。天体ショーって凄いなぁと。

昔「一度に沢山の人が楽しめる人力エンタメの極致はコンサートか花火かどっち?」みたいなことをココで書いた気がするけど、天体ショーのスケールには流石に人力では到底敵わない。何百万人という単位で今宵の蝕は楽しまれた事だろう。

宇多田ヒカルで蝕といえばその名もズバリの『Eclipse(Interlude)』があるわね。この曲は『ULTRA BLUE』アルバムにおいて「光が隠れる(=ヒカルの歌声が潜まる~インストだから)」ことと「昼が夜になる」ことの2つの意味が込められていた、という話は何度もしてるか。このアルバム、『COLORS』と『Eclipse』を軸にして前半が『夜が明けていく曲』、後半が『夜が更けていく曲』っていう風に歌詞で分けられてるのよね。それはさておき。

ヒカルさん、太陽のモチーフは沢山扱うのに月のモチーフは案外少ない。大体、多分「宇多田ヒカルで月の歌といえば?」と質問したときにいちばん多くなる回答は『Fly Me To The Moon (...in other words)』なのよね。オリジナルでなくてカバーなんよ月で真っ先に連想されるのが。『Wait & See ~リスク』というミリオンシングル(正式にはミニアルバムなんだろうけど)に収録されていたという点と、『新世紀エヴァンゲリオン』のエンディング・テーマであったという点で、どうしてもこれが一番に来てしまう。(庵野さんサントラに入れられなくて残念だったね)

歌詞の中にもなくはないんだけどねぇ。『traveling』の『風にまたぎ月へ登り』とか『Keep Tryin'』の『月夜の願い美しいものだけど』とか『Celebrate』の『月の見える丘で』とかね。いやはや、やっぱり『東京Nights』で『月など要らない』って歌っちゃったのがマズかったかな?(んなこたない)

そんな中で(どんな中だよ)、『誰にも言わない』の

『One way street 照らす月と歩いた

 好きな歌口ずさみながら』

の一節は、ホントによくきく(聴く/効く/利く)のよ私。この歌聴きながら何度家路を歩んだことか。シングルで出た時もそうだったけど、アルバムで聴くと更によかった。『気分じゃないの(Not In The Mood)』の次というのが絶妙で。特に、さっきまで雨が降っていたのがあがって晴れ渡る夜空に月が煌々と輝いてる夜なんかうってつけでね。『雨 雨 どっか行け』からの、ですので。こういうのが人生のサウンドトラックだよなぁと。そうなってくるとここの歌詞の『好きな歌口ずさみながら』の『好きな歌』がこの『誰にも言わない』自体になるという、私の大好きな自己言及構造が出来上がってしまって。いやはやこの歌もひとつ究極の何某かを携えてるよなぁと妙に納得してみたり。インスタライブでのパフォーマンスもLSAS2022もよかったなぁ。あんまり人気ないけれど、アルバムに『BADモード』の(現時点での)最高傑作ぶりを語るときには当然欠かせない1曲ですわね。今宵もこれを聴きながら、蝕を終えた月を眺めつつ歩んで帰りたいと思います。…足許にも気をつけながらね!(笑)(すぐ転ぶから君は)