無意識日記々

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万雷の拍手喝采を映像総集編に

「ヒカルさん、毎秒かわいい」は我ながらパワーワードだと思う。普通誰かを見てときめく時というのはある一瞬に、よく雷に打たれたような衝撃みたいなことをいうが─神経細胞を伝わるのは電気信号なので多分本当にそんな感じなのだろう─、その大きな一撃のインパクトでひとは恋に落ちる。ヒカルさんの場合その大きな一撃が瞬き一つずつで次々とやってくるのだ。雷の連撃、エネルで言えば万雷(ママラガン)だね。(何の話や)

昔はそれをファン以外に伝えるのは結構難しかったのだが、昨年庵野秀明&辻田恵美コンビが『One Last Kiss』のミュージック・ビデオを完成させた事で総てが変わった。作品の中に宇多田ヒカルの万雷ぶりを封じ込める事に成功。ぶっちゃけ庵野辻田組は宇多田さんに恋したのは間違いない。勿論、りなやん&ダヌくんら撮影組の尽力も見逃せない。特にダヌくん、先日のイーブイコスからして、貴方最初っから確信犯だったのね?のね?

でもま、裏を返せば、何故過去22年間誰も出来なかったのかと。特に最初の2~3本は宇多田ヒカルをどのように見ていたのか今となってはさっぱりわからない。メイキング動画からもわかるとおり、当時から普段のヒカルちゃん(@10代)も毎秒可愛いのだから何も変わりは無かったはずなのに。それだけ人を見る目というのは難しいということか。

いや、紀里谷和明監督作品はかなりよかった。特に『光』は出色の出来で、あれこそが宇多田ヒカルのPVの理想形だったのだが、彼は自らのクリエイティビティの希求に余念が無くあの路線はこの一作品限りとなった。無念。とはいえどの映像も素晴らしいかったのだけどね。

そして唯一、本当のヒカルさんの撮影に成功したのが─というこの流れこの日記で一体何回目だ(笑)─、そう、宇多田光監督その人による『Goodbye Happiness』だわね。宇多田ヒカルYouTube公式チャンネルの開設に合わせて歌ってみた動画のパロディで過去の名PVを振り返る内容で、ある意味それまでのPVたちの持っていた物足りなさを昇華した感がある。長い目で見ればあれらもまた宇多田ヒカルの多面的な魅力を伝える一端を担っていたのだよと。狭い部屋の固定カメラ映像の持つスケール感は(その時点での)過去12年を内包するほど大きなものだった。

そしてまた現代、ヒカルさんの多面的な魅力はますます広がり増すばかり。なのだが、どうにも最近映像露出のチャンネルがバラバラ過ぎてどうにも全体像が掴みづらい。コーチェラに出たりキャンペーンムービーだったりSpotify独占だったりNetflix限定だったりと、いちいちプラットフォームを渡り歩くのは煩わしいというか興が削がれる。そこらへんをなんとか解決する方法が見出せれば次の映像作品への展望や期待も見えやすい気がするのだが、なかなかに権利というのは壁が厚い。時間が経過したらリビルド企画でも立ち上げて擬似的な映像総集編を作れないものかな。それこそ、宇多田光監督作品で観たいわねぇ。