無意識日記々

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君に夢中、億。

『君に夢中』の再生回数が1億回を突破したそうな。

宇多田ヒカル「君に夢中」が、Billboard JAPANチャートにおけるストリーミングの累計再生回数1億回を突破した。」

「本楽曲は、チャートイン61週目で1億回再生を突破。「One Last Kiss」に続き、自身2曲目のストリーミング1億回突破となる。」

https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/121141/2

いや凄いね。確かに億再生は他にも毎年出てはいるが、宇多田ヒカルはCD時代の申し子で、必ずしもストリーミングで聴かれてるとは限らないだけに、この再生回数は実数以上の意味があるだろう。サブスクネイティブ世代にもしっかり“現代進行形”なアーティストとして認知されているという事だ。

実際、まだ40歳である。平成後期~令和の感覚だと、お笑い芸人なら漸く「若手」の冠が取れる頃だ。M-1に出れなくなるの大体この辺の年齢になるしな。ミュージシャンだとどうなるかというのは難しい所だが、まだまだここから「攻めの姿勢」で行けるのは間違いなかろう。体力的にもね。

当のヒカルの反応はこう。

@utadahikaru:いえーい🧟‍♀️いっぱい聴いてもらえて嬉し

@utadahikaru:売り上げとか再生回数とかじゃないこういうの尚更嬉し🧟‍♀️♡

https://t.co/YUJwCwAkQO

https://twilog.org/utadahikaru/date-230126/asc

リンク先のランキングは昨年もみさせてもらった気がするが、タイトルはかなり謙遜気味だ。相当この1年を正確に捉えてるように思われる、日本語圏の中でも相当信頼できるランキングになっている。LORNA SHOREは入ってて欲しかったが仕方がないか…(ぶつぶつ)…。

ヒカルの言いたいことは、つまり、売り上げや再生回数は「買ってみよう」「聴いてみよう」の数であるのに対して、こういった年間ランキングは「聴いてみてどう感じたか」が反映されているからより嬉しい、といったところだろうかな。

自分はBURRN!で育ったクチなので、アルバムに点数をつけるとかランキングをつけるとかいう作業は好んでする方なのだけど、でもやっぱりそれは余興でしかなくてだな。そういう作業を通して個々の音楽の関係性を把握して全体の地図が出来上がっていくのをみるのが楽しい、という方が大きい気がする。5位のアルバムと4位のアルバムでどちらが優れているかとか実際にはどちらでもよいことだなと、ずっと点数やランキングをつけてきていて思っていた。

結局は音楽の価値は個々の感性に委ねられるものだし、一方で音楽ヲタクはシーン全体について考察することもまた趣味の一環だったりするので全体の動向を把握するのに数字の集計は非常に有益なのだが、いずれであっても基本である「歌は常にひとつ」というポイントは外していたくないなと思う。Aという歌とBという歌を較べる為に二つを同時に聴いたら、そこに生まれるのはその二つの合唱や合奏やハーモニーでしかない。新しいひとつの歌になるだけだ。最も実際には不協和音になって聴いていられないケースが殆どだろうが。かけっこのように、2人を同時に隣同士で走らせて速度を較べて優劣をつけるとか、そういった営みとな全く異なるのだ。

…といった野暮ったい話を踏まえた上でいえば、いやぁ1億回再生回数凄いねぇめでたいねぇ。やっぱ宇多田ヒカルは多くの人に指示されてるんだわな。ドラマ「最愛」の大評判が後押しになっているとはいえ、ついぞ「主題歌で台無し」みたいな声がほぼ届かなかったことを考えると、そのドラマの出来を上回るほどの好相性と高品質でドラマの評判を更に押し上げた、とみられているのだろう。また今Netflixで最愛全話が観れるようになったのも大きそうだわね。

『One Last Kiss』に続いて、というのも意義深い。『One Last Kiss』は宇多田ヒカルにとって久々の特大ヒットだったから、まるで「一発屋」みたいな印象を残しかねなかったが(どんだけミリオン持ってると思ってるねんと言われそうだが、もうそれから十数年経ってたんですよ)、こうやって億再生が続くことで、楽曲のみならず宇多田ヒカルというアーティスト自体への認知度と評価、シーンでの立ち位置が確立されていく。ある1曲が評価されたという以上に意味のある事だろう。いやはや、ロンドンでヒカルは美酒に酔いながら心地好い眠りに就けたのかな。だとした、更に嬉しいわねぇ。