無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

youth gone mild

若さ故の魅力を、ヒカルの音楽に見いだすのは難しい。特に楽曲面に絞ると、例えば今LIVEで各時期の曲をランダムに歌ったとすれば知らない人にそれを年齢順に並べ変えろと言われても難しいだろう。

それがヒカルの魅力でもある。年齢以前に、時代に左右されない魅力があり、その上で老若男女総ての層に響く歌詞がある。普遍的というか、偏りがない所が魅力であるならば、なかなか若さを全面に押し出して、とはならなかった。

基本的なメロディーメーカーとしての資質や、作詞家としての才能は最初っから余り変わっていない気がする一方で、アレンジメントやプロダクションに関しては確実に成長している。その点については単純に今の方がいい。若い頃は拙かった、或いは未熟だったというだけでそれが「若さならではの魅力」かと言われるとややたじろぐ。

人としては随分違う。あのトークのハイテンションぶりは確かに若いが故の魅力だった。弾けるようなエネルギー。今は随分落ち着いた。ではそれが音楽面に反映されているかというとここでもことばに詰まる。どちらかといえばいちばん落ち着いた作品はFirst Loveなんじゃなかろうか。まぁそこら辺は見解の分かれる所だろうが、作品の"勢い"みたいなものを私がいちばん感じるのはHEART STATIONだった。

先程触れたアレンジメントやプロダクションについては、どんどん音が分厚くなっていき全体のスケール感が増していったように思われる。つまりは初期に行くに従って音が素朴な印象を受けるのだが、それも相俟って初期の方が"落ち着いた"印象なのかもしれない。

歌詞については、例えば"Parody"なんかはその時にしか書けない事を書いたという意味で17歳のヒカルがそのまま出されているが、それは「若気の至り」とはいえても「若さ故の魅力」とはまた違う気がする。うーん。

全体的に、私の捉え方としてはヒカルの若さは単に未熟さを指していて、それ以降に学んだものの積み重ねの魅力を知っていて認めているだけに、なかなかわかりにくくなっているかもしれない。過去の財産を捨てずに今に至っているから、今は過去を常に内包している。もし今後ヒカルが自分の過去を否定するような道に進んだらその時には素直に「あの頃はよかった」と言うかもしれない。

あぁ、「あの頃はよかった」と思う事がない訳でもない。99〜00年や06〜07年は読み返す暇もないほどメッセが更新されていて嬉しかった。ああいう時期を指して「あの頃はよかった」と思う事はある。でもそれは若さとは関係ないし、何より今後そういう時期が来る可能性は幾らでもある。あんまり懐古的でもない気がする。


何か煮え切らない感じが強いので次回もこのテーマで書こうかな。