無意識日記々

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キレイな血?

まだまだ謎めいた『PINK BLOOD』の、何がいちばん謎なのかって、相変わらず「“Pink Blood”って、何?」という疑問に尽きる。アニメのオープニングで、曲中これでもかと何度もリフレインされるこのタイトルに、果たして何か意味はあるのだろうか。

特に自分はこの“PINK”の部分にどうしても「桜色の」という形容をつけたくなっている。手元に『ダレ・ニモ・イワ・・・』と同じリズムの譜面があると前に触れたが、その続きにカウンターメロディとして和風音階が登場する。それが下降旋律に帰着していくものだからそれがまるで桜が散るようなイメージでな。形而上学的な知性と植物の生死という生々しく時に艶かしさすらある色味が重なっていくのを聴いていると、『PINK BLOOD』も近いモチーフを持っているような気がしてならないのよ。

アニメの第1話は漆黒に雪が降る場面で『PINK BLOOD』が流れ始めた。第1話ならではの特殊エンディングとみるべきだろうか。週明けの第2話ではやっと「正規のオープニング・アニメーションを伴った『PINK BLOOD』」が体験出来るとは思うが、ひとまず、我々のファースト・コンタクトは雪の映像と歌の組み合わせだったのだ。

なのに私はあそこの場面で何故か「桜が散っているみたいだなぁ」と思っていた。原作漫画を読んでいて第1話が極寒の、シベリアの凍土のようなイメージの土地が舞台なのだとよくよく知っていたしそこに降るのは雪に決まっているのに、にも拘らず私は桜を連想していた。だからそこからヒカルに『PINK BLOOD〜♪』と歌われた時に「桜色の血」のイメージを思い浮かべていたのだ。

本当にそれだけのことで。思い込みの話でしかないのですがね。

一方でヒカル自身は、歌を「タイアップ先に依存しない紐解き方」で分け入っていっても大丈夫なように作詞している筈で、ならば『PINK BLOOD』は、「不滅のあなたへ」と凡そ無関係なキーワードなのかもしれず、もしそうだとすればどう解釈すべきか、となる。

であるなら、例えば歌詞に『キレイなものはキレイ』と出てくるから、血の色が赤だと生々しさが前面に出てくるが、もしそれがピンクなら血の美しさにフォーカスがいくのではないかという捉え方もできるかもしれない。「キレイな血」だね。美意識を喚起するための“PINK”なのだと。

或いは直接の血ではなく、肌がほんのり紅く染まる様子を指して“PINK”だという風に言いたいのかもしれない。どうだろうね?

想像力をはたらかせられるのは今のうち。いつフルコーラス解禁になるかわかんない。相変わらず寝言と世迷い言に余念の無い私なのでありました。

すかさずさ

で今度は『PINK BLOOD』のヴィジュアル面の話。ヒカルが自ら紹介していた通り、早くもアー写が一新されてティザー映像“6秒て”もアップロードされた。これがまぁどちらも鮮烈でねぇ。

新しいアー写の公開のタイミングが、前回&前々回触れた『キレイなものはキレイ』の“形而上学的パート”が初公開された直後だったのは偶然ではないだろう。宇宙人に連れ去られる人だか宇宙に連れ去っていく人だかを連想させるその佇まいは確かに浮世離れした美しさを感じさせる。なんてことなくもないルーブル美術館の女神ニケ像を彷彿とさせると語っていた人もいたがさもありなん。女神様って感じよね。

一方ティザー映像の方は、こちらは「ミレーのオフィーリアを思い起こさせる」という人がいた。なるほど、戯曲「ハムレット」で悲劇の溺死を遂げるヒロインをモチーフになぁ。オフィーリアのこの絵はつとに有名で、昔から土左衛門のパロディに「オフィーリア!」と呼び掛けるのは鉄板のツッコミだった。数年前に樹木希林がそれを大真面目にやってたんだって?  知らんかったよ。彼女のセンスならわかるわ。

で今回Wikipedia読んで初めて知ったのだがミレーのオフィーリアは、あれ、溺死の場面じゃなくてその直前、水面で歌うシーンなんだってね。そいつはシェイクスピアだって驚きの展開だわ。いや書いた本人は驚きやしないか。ともあれ、「歌と死」というこの絵画のテーマは「不滅のあなたへ」の不死なフシへのテーマソングを書いた歌手としてはうってつけのモチーフだろう。構図といい色合いといい意識しているのは間違いなさそう。こちらはアー写とは対照的に、ビビッドで動植物と人間の生々しい生命力を感じさせる一瞬となっている。しかし6秒て。(しつこい)

ヒカルは、歌の中の形而上と形而下の対比を、ヴィジュアル面でも即座にアピールしてきた訳だ。放送前からのツイートといい放送後のすかさずさといい、しっかり計画して発表してきたのだろうな。我々が30秒や90秒でどんな感想をもちどんな妄想をはたらかせるかまで予想してプロモーションをしてきている。この流れだと、フルコーラスの『PINK BLOOD』はヴィジュアル面でもフルならではの魅力を追加してきてくれるのかもしれない。ワクチン接種で急速に開かれ始めた英国からどんな表現が新たに渡航してくるのか、楽しみに待ちたいと思います。

Namo・Nowa・Kirey

前回歌詞として触れたパート、

『誰にも見せなくても

 キレイなものはキレイ

 もう知ってるから

 誰にも聞かなくても

 キレイなものはキレイ

 もう言ってるから』

……この部分を今度は音で見てみよう。

符割りに沿って書き直すとこうなる。

「ダレ・ニモ・ミセ・・・

 ナク・テモ・キレィ・・

 ナモ・ノハ・キレィ・・

 モウ・シッ・テル・カラ

 ダレ・ニモ・キカ・・・

 ナク・テモ・キレィ・・

 ナモ・ノハ・キレィ・・

 モウ・イッ・テル・カラ」

22年前に

『7回目のベルで受話器を取った君』

「ナ・ナカイメノ

 べ・ルデジュワ

 キヲトッタキミ…」

と切って歌って一世を風靡した人の面目躍如といったところか。未だ健在、独特の符割りだな。

当然ながら、その頃と変わらない訳もなく。全く手法としては進化している。特にこのリズムのとり方が進境著しい。

自分もちょうどこのリズムの譜面を書いていた所だったのでタイムリーによくわかるのだが、この符割りに対して一定の和音を与えてあげると雰囲気が「非生命体的な知性」を感じさせるサウンドになる。知的な存在なんだけど肉体を伴っていないような。イメージとしては精霊や神より宇宙人とかアンドロイドとかに近いかもしれない。概念的な存在というか。自分はよく“metaphysical sound”、「形而上学的音像」と読んでいるのだけど、単に無機的なだけでなくどこか知的に響くのがいい。

故に『キレイなものはキレイ』というフレーズがまるで神託、託宣のように響いてくる。有無を言わせないというか、静かに確信が強くて抗う気も起きないというか。こうやってカタカナで『キレイ』と表記されているのも意図的だろう。非生命的な美を感じさせる。

そこからの『あなたの部屋に歩きながら』なのよ。いきなり日常的な風景に落とし込んでくるのだ。嘗て『Passion』で

『思い出せば遙か遙か

 未来はどこまでも輝いていた』

と時間を超越した形而上学的知見から歌っていたところから

『年賀状は写真付かな』

という卑近な日常に落とし込んできた鮮やかさをも想起させるが、ここではもっとより自然により然り気なく音もなく降り立ってくる感じで歌が推移している。確かにこれは『誰にも言わない』のあの壮大ながらも偉ぶらない、達観したサウンドを確立した人だから辿り着けた境地だ。この一年でも更に成長・進化しているといえる。いや、この歌は本来半年前に発表されていた筈なので、こちらの受ける印象以上にヒカルの進化は速いのが真実なのかもしれない。全く恐ろしい音楽家だ。いつ発表になるかは未だわからないが、アルバム全編を聴くのが怖くて堪らないよ。

まだ知らないから

dアニメストアデイリーランキングで「不滅のあなたへ」が第1位を獲得した。デイリーということでどの作品と同日公開かが大事なのだけど、「シャドーハウス」より上に来るとは予想出来ていなかった。事前の話題性ではそちらの方がずっと上だと思っていたのになぁ……。これはリアルに宇多田ヒカル効果もあるんじゃないかと疑いたくなるところ。やっぱり箔が付くというかアニメの格みたいなもんで視聴者に「これは観ておかないといけない作品なのでは」と思わせる事に成功したのかもしれない。来週も「シャドーハウス」より上だったらいよいよホンモノだね。まぁその前にウィークリーでどこまでいくかだ。「転スラ日記」や「スライム倒して300年」より上に来られたら私はフクザツです。(正直だな)

特に今回はティザー映像が「6秒て」なので余計に皆アニメの配信に押し寄せた傾向があるのかもしれない。ちゃんとした音質で90秒聴けるとなるとまずここだからねぇ。

で。そのアニメのオープニング(エンディングなのは第1話のみよ)にて今回新しく加わったパートの一部がこちら。

『誰にも見せなくても

 キレイなものはキレイ

 もう知ってるから

 誰にも聞かなくても

 キレイなものはキレイ

 もう言ってるから』

誰にもわかるような平易な言葉ばかりを使っているのにどこか謎めいた印象を残す。先にアニメPVを観た時に聴けていたパートとの落差がかなりある。ひとつの楽曲の中でこれだけバリエーションがあるとなると誰にも言わなくても『誰にも言わない』を連想したくなる。本当に最近のヒカルの曲はフルコーラス聴くまで油断が出来ないやね。

『誰にも言わなくても/もう知ってるから』はまだわかる。「自分が知っているのだからそれ以上は必要ない」という意味だろう。しかし、『誰にも聞かなくても/もう言ってるから』は、冷静に考えるとよくわからない。「聞かなくても」が仮に「訊かなくても」即ち「尋ねなくても」の意味だとしたら、『もう言ってるから』は「誰が誰に!?」となって少し合点が行かない。もし『誰にも聞かなくても』が「誰かがそう言っているのを耳にしたことがなくても」という意味なら「(もう自分がそう)言ってるから」という意味に取れるのだが。それも、だったら何故より自然な「誰から聞かなくても」にしなかったのか、という疑問が残る。どちらにせよモヤモヤが残るのだけど、これもフルコーラス聴いたらわかってくるのかな。ほんと、焦らされ感がいつも以上に強いです。嗚呼、もどかしい。このパートが『キレイ』なのは、間違いないんだけどねぇ。

since I've already said it.

こうやって最新曲『PINK BLOOD』の音が一部とはいえ届き、ヒカルからの音と映像とアー写のプッシュがあると俄然そちらを注目してしまうが、勿論『One Last Kiss』EPのインパクトは未だ冷めやらないしまだまだ語る事が沢山ある。新曲が出るとすぐそちらに気がいって日和見な感じが出てしまっているが、忘れてる訳じゃないよとだけ言い訳をしておきたい。

でもやっぱり『PINK BLOOD』が大変気になるのよ。

私、最初『サイコロ振って出た数進め』の箇所は聞き取れたのだがその後の『王座になんて座ってらんねぇ 自分で選んだ椅子じゃなきゃダメ』の部分がよく聞き取れなくてねぇ。「え?ダイスじゃなきゃダメ?サイコロだから?」みたいに一瞬思ってしまった。王座と椅子ね。自分が座る場所のことねぇ。

初めに『PINK BLOOD』というタイトルを聴いた時、X(JAPAN)のメジャーデビューアルバムのタイトルなんかで有名な“Blue Blood”〜高貴な血統を連想していたのだが、ここで『王座』というワードが出てきてますますその連想が強くなった。今月末にはイギリスのロック・ユニットROYAL BLOODの新作「TYPHOONS」がリリースされるので日々それを心待ちに過ごしているのだが(今日も新たに先行曲が配信されました/完全に余談)、やはりそういった「貴族とか王族の血筋の更に上」というような意味合いをPINKという色合いに託したのだろうか。

一方でその色は日本語でなら「桜色」や「桃色」にもあたる訳で、桜のように美しく儚く散っていく生命を総て受け止めて自らの血肉としていくフシへの比喩ともとれ、まだまだこのタイトルの謎めき具合は留まる事を知らない。フルコーラス聴いたら余計謎が深まったりするかもしれんしな。

最初に30秒だけ聴いた時の印象と、今週加わった60秒の印象がかなり異なる為、これほんとフルで聴いた時にどこに着地するのかさっぱりわからない。ひとまずはこの合計の90秒は「不滅のあなたへ」にフィットする部分だということは言えるだろう。『もう知ってるから』とまだ言えない今しか書けない感触を、まだまだ記していきたいと思う肌寒い雨の日なのでした。