無意識日記々

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風に薫(くゆ)るタバコの煙の行方

ピンク・フロイドの「葉巻はいかが?―Have A Cigar?―」を例に取るなら、宇多田ヒカルの話をする場合First Loveの『タバコのFlavorがした』の部分にスポットを当てるのが王道だったなぁ、なんて思いつつ。あれ、そういえばFlavor Of Lifeってタイトルを聴いた時、Flavorって言葉を使うからにはFirst Loveの再来みたいな意味もあるのかなぁ、なんて話したっけかな。記憶にないや。実際はOriginalがアップ・テンポの曲なので偶然というかそんな意図はヒカルになかったんだろうけれど、結果的にFirst Love以来のどころか今のところ光のキャリアで最大のヒット曲になっている。一曲で800万ユニットだか何だかという数字、もう二度と出せないかもしれんしなぁ…。

という訳で王道の話。『最後のキスはタバコのFlavorがした ニガくてせつない香り』という歌い出しが、つまり、今後タバコへの風当たりが強くなれば不適切表現として糾弾され実質発売中止になる可能性もあるという事。この"実質"というのは日本独特の現象なのだろうかな、他国の事情も知らないのでわからないが、いや日本の事情だって知らないけれど、要は「自主規制に追い詰められる」のが現実なのだ。『それ他粛じゃないっすか』と光はツッコミを入れていたが、相変わらずこの国の陰湿な部分には疎いなぁと感じざるを得なかった。昔の話だけど。他粛こそ本質・実質なのだから。それが"形式上"自粛という名で流布するから恐ろしいのである。何しろ自分からやってる事だから他の誰の責任でもないのだ。誰かに言われなきゃそうしなかったにも関わらず。この、心理的に自主性のない自粛(最早日本語としておかしい)に追い詰められると、自粛は萎縮に向かう。緩慢な死、って誰の言葉だっけ、まさにそれである。

幸い、高校野球ブラバンも結局First Loveを演奏していた気がするし、宇多田ヒカルという名は、少しでも危うい表現をすれば叩かれる深夜アニメの側ではなく、堂々と毎週殺人を行えるゴールデンタイムの作品の方に属するので、即ち暫くは世論というか世の中の雰囲気が味方してくれるだろうが、それが永続するとは限らない。ちょっとした事で風向きはガラリと変わるだろう。表現規制問題に関しては、敏感になり過ぎるという事はない。私だって、こんなに毎日好きに書いて公表する自由を享受している。それが出来る事を当たり前だとは思わないようにしたい。あれ今回最後まで真面目かよ。つまらんなぁ…。