無意識日記々

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2018年02月20日のツイート

食わず嫌い王に食わす気概を欲す

「音楽の好みは、平均すると女性で13歳の頃に、男性で14歳の頃に決まる」というスレッドが立っていた。自分も大体そうなので特に反論する気も起こらない。自分の好みは15歳の頃から四半世紀以上ず〜っと一緒である。音楽に対する理解力は上がっているので楽しめる音楽は年々増えてはいるが、枝葉が充実しても幹は変わらない。未だにメタルだプログレだと五月蝿い。本当に煩い。

所詮は平均、統計なので誰にでもあてはまるものではないが、ある程度の真実は言い当てているのだろう。しかし、この調査(?)は現実に対して大きなポイントを見逃している(或いは最初から度外視しているのだろうな)。それは、人の好みではなく、音楽の方の変化と進化である。

いつの時代でも、という訳にはいかないが過去50年、ある程度の割合で「新しいジャンル」の音楽が生まれている。それは、聴き手の年齢なんぞ気にしない。逆にいえば、幾ら好みが固定化した人が居てもその時に全く新しい音楽に巡り会えたら、そっちの方がずっと気に入るかもしれない。それは本当にわからない。

この調査(?)の含意が実は「人間、歳をとると新しい音楽に反応しなくなる」だったら悲しい。いや、人の音楽の好みは一期一会の十人十色、百花繚乱千差万別。ずっとこれだと固定化した好きなジャンルを追究し続けるのもまた麗しい人生、全く悪くはない。悲しいのは、なぜかそこで新しい音楽を否定しにかかる人間が居る事だ。何が怖いのだ貴方は。

そもそも、好みに古いも新しいもない。古くて伝統あるジャンルの魅力がさっぱりわからないとかありがちである。あたしゃ未だに日本の民謡の魅力がわからなかったりして…いつか気に入れるといいな、とは思っているのだけどそれはさておいて。いつの時代であろうがその人にとって初めて聴く音楽は新しい音楽だ。その筈なのに"トレンド"として取り上げられた音楽を真っ向から否定しにかかる人がいる。普段、トレンドでない好みの音楽に食ってかかるような事をしないにもかかわらず、ね。私が悲しいと言っているのはその事だ。

宇多田ヒカルもデビュー当時物凄いトレンド(というか事件というか現象というか)になったので、"新しいトレンドに否定的な人々"は、歌に耳を傾けさえしなかった。その時の機会損失は大きい。もし目を隠して歌だけを聴いてくれれば気に入ってくれてたかもしれない人たちから「ワイドショーで取り上げられるような」というイメージを持たれたお陰でシリアスに捉えられなかった。ヒカルの歌はある意味全く新しく、人によっては13〜14歳の時に確立した好みを超えて受け入れられる可能性を秘めるほど大きなものだったのに、スルーされてはどうしようもなかった。流石にデビュー20周年を迎えようというタイミングでそこまで頑なに「宇多田なんて聴いた事がない」と言う人は減ったと思うけれども、まだまだこれから若いリスナーが増えていく中で同じ事態が起こらないとも限らない。それを防ぐ為の特効薬は存在しないが、もうひたすらシンプルに音楽を聴いて貰えるように、様々な工夫を凝らしていく事が必要だろう。具体的な話はまたいつか書
きますわ。