無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

It's a manual communication

週末はスーパームーンとやらで月に纏わる歌が取り上げられる機会が多かったらしく、ヒカルの場合は"Fly Me To The Moon (In Other Words)"が挙げられていた。流石にテレビでちらっと歌っただけのMoon Riverはみられなかったが、まぁいずれにせよどちらもクラシックスといえる古典的名曲である。

調べた訳では全くないが、昔の方が月を唄う歌が多かったのではないか。いちばん近い天体で、夜空でもあれだけ目立っているのに最初はあそこに辿り着けるだなんて思ってもみなかったろう。それが1969年に達成されてしまった。当時の人達は興奮しただろう。しかし、夢を追うとか以上の直接的な意味は月面にはなかった。資源が採掘できる訳でもないし。夜空に煌めく姿は相も変わらず美しいが、極端な神秘性はそこから徐々に薄れていった気がする。その後も人類による宇宙開拓は紆余曲折を経ながらも着実に進み、そろそろ"Fly Me To The Moon"と言われたら「じゃ、行こうっか」と返される時代がやってきそうな所まで来た。もうちょっとかかるだろうけどね。

とはいえそれは「これから作る曲」には影響を与えても、古典となった名曲たちに影響を与えるものではない。PHSを知らない世代にとってもMovin' On Without Youは名曲だろうし、CDプレイヤーを持っていない世代にとってOne Night Magicの「あげたい、君の知らないCD1枚」は、"当時はそんな風だったんだなぁ"というだけだ。

少し通じないかな、と思うのはオートマかな。

『アクセスしてみると映るComputer Screenの中
 チカチカしてる文字 手をあててみると I feel so warm』

これは、コンピューターの画面というものがあって、普段は触らなくて、ブラウン管(画面に電子ビームを当てているのだ)が多少熱を帯びていてチラついているから伝わる叙情的な表現であって、チラついていない冷たい画面を指でなぞる事が普通になっていく世代にはどうにも意味が伝わり難い。月に行くようになってから半世紀経ってもまだその遠景は保たれているが、十数年前の歌の意味は徐々に伝わり難くなる。少し不思議な捻れだが、それを説明しなきゃいけない世代がAutomaticに親しんでいってくれるのであれば、嬉しい手間暇かもしれない。