無意識日記々

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"10年に1作"

魔法少女まどか☆マギカ」を絶賛し、"数百年語り継がれる"とまで言っておきながらこの作品を"10年に1作の傑作"という程度にしか私が言わない、言えないのは何故なのか。20年とか50年でもいいじゃないかと思う所だが、そう言わざるを得ない状況が、そうさせてくれる作品が我々にはある。そう、「新世紀エヴァンゲリオン」だ。今はヱヴァンゲリヲンだが。

EVAの影響力は計り知れない。あの文芸大作映画「涼宮ハルヒの消失」を生んだ涼宮ハルヒシリーズですら、EVAのフォロワーのひとつに過ぎない。ラノベだけど。当のまどか☆マギカも、思春期の主人公がなるならないで逡巡するという物語の基本構造からしてEVAの文脈に則ったものだ。勿論更にその源流は機動戦士ガンダムに遡れ、更にその前は…と続いていくのだが、EVAが物語の原型を形作る記念碑的作品である事は間違いない。この偉大な作品の存在が念頭にあるから、「魔法少女まどか☆マギカ」を"10年に1作"程度にしか形容できないのである。

勿論EVA自身も"数百年語り継がれる"可能性を持った作品なのだ。今の日本のアニメのトップの作品群は伝説的なものばかりである。文豪達の作品が教科書に載るように、彼らの作品もまた歴史に名を刻むだろう。

ただ、まどか☆マギカが恐ろしい完成度を誇るのと異なり、EVAはまだまだ未完成の作品だ。どちらが優れた作品か、なんて議論は両者が生むどでかい感動に比べれば些細な事だが、まどか☆マギカの存在が、アニメファンにとってEVAの新作公開をよりスリリングなものにしている側面も少しばかりあるだろう。今のEVA王者としてだけではなく挑戦者としても評価される立場にあるのだ。

その歴史的作品のエンディングを2回連続で任されているのが宇多田ヒカルである。特にこのEVAという作品では"うた"というものが重要な位置を占めるだけにその役割は非常に重い。大方の予想通りヒカルは3回連続になりそうである。公開1ヶ月前にEVAネイルアートを披露しておきながら今回は関係ありませんでしたでは余りに…まぁそれはそれで面白いか。

シンプルに考えれば、箝口令が敷かれている為おおっぴらには言えないが、"公然の秘密"としてギリギリの所でアピールしている、という風に取るのが自然だろう。これで他の人だったらその人可哀想過ぎるよ。唯一皆が納得するのは旧劇版の復活だろうが、それは作品的には間違っている気がする。挿入歌の中に旧劇版を盛り込み、エンディングは新劇版で、という体裁なら有り得るだろう。いずれにせよここまで引っ張っておいてヒカルの曲が関わっていなかったら詐欺である。また当日まで秘匿かもしれないが、あと1ヶ月、その日が来るのを心待ちにしておこう。