無意識日記々

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凪いだって何も変わらないって

こうやって色んな要素から現況と展望を推し量っているが、つくづく今この時期に表舞台から引っ込むにはいいタイミングだったんだなぁと思わずにはいられない。勿論、EVAが完結していないのにという言い方も出来た訳だがこうやってQをクリアした現実をみれば最早些かの不満もなかろう。曲の好き嫌いは別にして。

今の時期というのは、多くの邦楽アーティストにとって次の生き方を考える大事な時期だ。アナログレコードやカセットテープの時代へ、そしてCDの時代、シングルCDの登場、インターネット時代、着うた時代、と着実に時代は推移してきたが、さて今はスマートフォンの普及とともに…どうなっているんだろう?というのが実感ではないか。何の実感もないという実感、かな。様々な選択肢は揃ったが、「暫くはこれでいこう」というセリフすら浮上してこない位に、決め手がない。業界的にも、ソフト面というべきかハード面というべきか、秋元康現象以降の次の手がみえない。こうなってくると、次々と新しい手を打ってくるジャニーズって優秀だなぁと嘆息せざるを得ない。

宇多田ヒカルは、かなりの数を富裕層ならぬ浮遊層に依拠するアーティストだ。その実力の割に、今は違うかもしれないが一昔前までは種々のジャンルの音楽ファンは"食わず嫌い"であまり聴かれてこなかった。自然と耳に入るヒット曲は知っているけどという程度。アルバムを何千枚何万枚もっていても、通り過ぎる人は通り過ぎるのだ。

そういったコアな、媒体が何に移り変わろうと音楽を買い続けてくれる層には相手にされず、かといって今の浮遊層にはそもそも音楽をお金を出して購入しようという習慣がない。残るのは、ひたすらにピンポイントでヒカルの事が好きな連中、即ち我々だけだ。

しかしそこも難しいところで抜群の知名度と築き上げたリスペクトは10年くらいでは消滅しない。火をつける事さえ出来ればいつでも引火して爆発する土壌はうっすらとある。逆にだからこそ動き難い。CDを買うという習慣が空気のように定着していた99年のように、気に入った歌をみつけたらすぐさま着うたを購入していた07年のように、「暫くはこれで」という媒体が安定するまでは、その雲を掴むようなリスペクトファイアは期待できない。至福の時を待つ雌伏の時期、それが今なんじゃないかな。